肥満になる原因は たくさんあります


<食事内容>

やはり いちばんの原因は食事です

肥満になりやすい食事

どのような栄養素を
制限すればいいのでしょう?

三大栄養素

@糖質

巷では 糖質制限ダイエットが好評のようです

このブログでも
糖質制限ダイエットの有用性については
詳細に解説しましたが

当院に通院されている
患者さんたちを見ていても
肥満の男性には効果的な印象があります

実際に 低糖質食は低脂質食よりも
体重減少量が多く 
内臓脂肪減少率も高いという報告があります

しかし
長期間での体重減少効果は
未だ結論が出ていません

リバウンドが比較的多いのも問題です


@脂質

脂質の長期的制限は 
体重増加抑制に有効とは言い切れない
との報告があります

脂質の過度の摂りすぎは
肥満につながりますが

脂質制限による減量効果は
疑問視されているようです


@タンパク質

高タンパク質(エネルギー比率25%)の食事だと
体重 脂肪の減少率が大きいことが
報告されています

タンパク質の摂取にともない
熱産生量が増え 
満腹感を得やすいためと推定されていて
長期の体重減少維持にも関与すると
考えられています

減量には 
むしろタンパク質をたくさん食べた方が良い
ということです


<食行動>

@早食いは 肥満につながります

早食いの人は肥満が多いことを示すグラフ

早食いだと
満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまい
摂取カロリーが過剰になるからです

食べる速さは
エネルギー摂取量とは独立した
インスリン抵抗性の危険因子です

つまり 量的に食べ過ぎでなくても

食べるスピードが速ければ肥満になり
インスリン抵抗性が惹起されてしまいます

また 早食いは
血糖 インスリンの急峻な上昇を介して
脂肪蓄積を促します


@朝食の欠食も 太る原因になります

朝食を食べないと
昼食や夕食での過食をもたらし
過食は食後のインスリン値を上昇させるので
肥満を誘導します

朝食抜きだと肥満になることを示す図

3食しっかり食べて
朝昼食はしっかり 夕食は控えめにすることが
効果的です

肥満を招く食生活の解説


<飲酒>

男性で影響が大きいとされています

特に 飲酒量が多い場合は
エネルギーの過剰摂取が生じ
肥満が誘導されます

飲酒にともなう脂っこいおつまみの摂取も
肥満の原因になります

飲酒が肥満を促すことの注意を喚起する図表

但し 少量~中等量の飲酒なら
体重増加リスクは上昇しません

また
アルコールの種類は影響しないとされています


<身体活動>

身体活動の増加は 減量につながります

特に男性では 女性より効果的です

運動不足による肥満を示すイラスト

また 座位時間が長いと肥満が増加します

長い座位時間が招く肥満を含めた健康障害

日本人は
座位時間が長いと指摘されていますから
要注意です

国別の平日の総座位時間を示すグラフ

また テレビ視聴時間が長いと 
やはり肥満につながります

テレビ視聴時間と総死亡率の関係を示すグラフ


<睡眠>

短時間睡眠は
体重増加と関連するとされています

睡眠時間と肥満の関係を示すグラフ

睡眠不足による
空腹感の増強 摂食回数の増加
レプチン低下 グレリン増加
などが 肥満の原因と推測されています


<喫煙 禁煙>

@喫煙

重度の喫煙者は
肥満度が高くウエスト周囲長も大きく

喫煙本数と内臓脂肪量は正の相関を示すことが
報告されています

喫煙する肥満者

@禁煙

禁煙の解説でも紹介しましたが

禁煙後には
体重増加をきたしやすい傾向があります

こうした場合
身体活動量が少ないことが多く
運動量を増加させれば太らないことが
明らかにされています


<心理的 社会的要因>

@心理的要因

ストレスが多いと肥満になりやすいので
注意が必要です

特に女性は
慢性的なストレス状況下では
過食に陥りやすく太りやすい

ストレス食いする女性

@社会的要因

*食料品店 ファーストフード店が
 家のそばにたくさんあり アクセスが良い

*公共交通機関が乏しく 自家用車での移動が多い

といったことが 肥満と関連します


特にコンビニで
夜にカロリーの高い食材を買って食べてしまうのは
たいへん危険です


<職業要因>

@時間外労働が多いと
 夕食の時間が遅くなるので
 肥満になりやすいので注意が必要です

夜食が肥満をもたらす原因の解説
@深夜勤務者

明け方のエネルギー摂取量 油脂 アルコール摂取量が多く
1日の消費エネルギー量が日勤者に比し有意に低いので
太りやすいことが報告されています

@単身赴任者

朝食の欠食が多く 
単身ストレスがある人は飲酒量が多くなります

肥満度とは関連しないと報告されていますが
要注意です


<性ホルモン 加齢>

日本では 30歳以降に肥満者は急増し
男性は40~70歳代の全年代
女性は40~50歳代で増加します

基礎代謝により
摂取カロリーを消費してくれる骨格筋量は
男性で加齢とともに低下しますが
これには遊離テストステロン量が関連します

また 男性は
加齢により男性ホルモンのアンドロゲンが低下し
総脂肪量 腹部脂肪量が増加します


一方 女性は
閉経後の女性ホルモンのエストロゲンの低下により
腹部皮下脂肪 内臓脂肪量が増加します

加齢によるエストロゲンの減少と内臓脂肪量の増加の関連を示す図




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