肥満は 前回紹介した生活習慣病以外にも
今回紹介するような
さまざまな病気の原因になります

<睡眠時無呼吸>

@閉塞性睡眠時無呼吸・OASとは?

*睡眠中の無呼吸時に 
 努力呼吸をともない いびきをかく
 という症状が典型的です

*睡眠1時間中に認められる
 無呼吸・低呼吸 
 呼吸努力関連覚醒
 の合計である 無呼吸低呼吸指数(AHI)が
 5回以上あると 
 睡眠呼吸障害と診断されます

*肥満の増加により 増加しています

睡眠時無呼吸の説明図

*循環器疾患 糖尿病 透析中の慢性腎不全
 の患者さんでは 頻度が高いとされています

*心血管イベント 心不全 脳卒中の
 予後悪化との関連が報告されています

睡眠時無呼吸患者のさまざまな病気のなりやすさ

@診断

*症状 兆候

・眠気 疲労 不眠 充足感のない睡眠 
 を訴える

・睡眠中に 息こらえ あえぎ 窒息感
 を感じて覚醒する

・観察者が 習慣性いびき 呼吸の中断 
 のいずれかを確認する

・高血圧 糖尿病 冠動脈疾患 脳卒中
 うっ血性心不全 心房細動 認知能力低下がある

睡眠時無呼吸の症状

*ポリソムノグラフィ(PSG)での検査

・上記の症状・兆候があり
 睡眠1時間あたり 
 5回以上の閉塞性呼吸イベントがある

・症状の有無に関わらず
 15回以上の閉塞性呼吸イベントがある

こうした場合は OASと診断されます


@重症度

*軽症 AHIが5回以上15回未満

*中等症 15回以上30回未満

*重症 30回以上

睡眠時無呼吸の重症度

@最大の原因は 肥満と高齢

*肥満により気道が細くなり
 呼気時に気道が狭窄しやすくなるのが原因です

*10%の体重増加で
 AHIが32%増加
 中等症のリスクが6倍増加します

*10%の体重減少で
 AHIが26%減少します

*肥満の進行により
 症状は急激に悪化します

睡眠時無呼吸になりやすい人

*減量は有効な治療となり
 標準治療の持続気道陽圧呼吸(CPAP)
 との併用がより効果的です

CPAP療法の解説図

<運動器疾患>

@変形性膝・股関節症 変形性脊椎症

*肥満により発症リスクが高まり 
 症状が悪化します

*食事 運動療法による減量で改善します



<肥満関連腎臓病>

@肥満との関連

*CKDの発症・進展の独立した危険因子

*アルブミン尿 蛋白尿の独立した危険因子

になります

CKDと生活習慣病の関連を示す図

@減量による治療効果

減量はCKDの進展予防に有効です



<がん>

@肥満との関連

*がんによる死亡リスクが増大し
 さまざまな種類のがんの罹患リスクが増大します

*肥満との関連が確実なのは
 大腸 食道 子宮体部 膵臓 腎臓 閉経後乳がん

*ほぼ確実なのは 胆のうがん

*可能性があるのが 肝臓がん

*肺がんは 肥満によりリスクが軽減します

肥満とさまざまながんのリスクを示した表

@BMIと発がんリスク

*男性では21~27 
 女性では21~25が
 最も発癌リスクが少ないです

*BMIの増加は
 乳がん 大腸がん 前立腺がんの
 予後を悪化させます


@肥満の治療とがん予防

*食事療法 運動療法 禁煙 禁酒が
 がん予防に有効です

*運動を含めた身体活動の増加により
 大腸がん 閉経後乳がん 子宮体がんの
 リスクが抑制されます




高橋医院