肥満が原因となったり関連する病気の
紹介を続けます


<胆石症>

@肥満は コレステロール胆石の危険因子です

・BMI>25以上の肥満女性では 
 胆石発作が有意に多いです

・BMI>45の高度肥満では
 発作のリスクは7倍以上になります


肥満者の胆石のなりやすさを示す表

@減量とウルソ酸治療が有効です



<静脈血栓 肺塞栓症>

@肥満の人は 
 エコノミークラス症候群になりやすいです

*肥満にともなう運動不足も
 大きな要因のひとつです



<気管支喘息>

肥満喘息の注意喚起をするポスター

@肥満との関連

*肥満度に比例して 発症率が高くなります

*高齢 女性 非アレルギー性が多い

*肥満による喘息は
 喘息治療薬に抵抗性を有することが多いです

*減量により 発作が減少します

BMI別の喘息有病率

@機序

*高脂肪食により 炎症反応が増悪する

*レプチンの増加により免疫細胞が活性化されて
 慢性炎症が誘導・維持される

といったことが推定されています



<胃食道逆流症>

@高度肥満ではGERDの頻度が高く
 肥満度と症状は正の相関があります

逆流性食道炎と肥満の関連を説明する図

@減量により
 自覚症状 胃内pHは改善します

減量によるGERDの症状改善を示す図


<精神疾患>

うつ病の有病率が高い

*肥満では
 うつ病の発症リスクが55%高まります

*うつ病では 
 肥満の発症リスクが58%高まります

このように うつ病と肥満は
互いに互いの発症を促進し 
症状を悪化させて悪循環を形成します

うつ病と肥満の相互関連を示す図
肥満の有無によるうつ病有病率の差異を示すグラフ
不安障害 摂食障害も多く認められます


@肥満者では 
 食行動に影響を与える感情 考え方に
 問題が存在することが多い
 と報告されています

*食行動の異常を中心とした 
 食習慣 食への歪んだ依存が見られます

*そうした状況を誘導する 
 心理的社会的葛藤 ストレスも
 肥満の原因になります


高度肥満になることで
 自分自身への自己評価の低下が起こり
 糖尿病などの合併症への不安も生じ
 精神疾患に罹患しやすくなる
 と推測されています


@肥満者で見られる心理的特性

*自己評価が低い
 不安が強く 他者からの評価に敏感で
 対人緊張が強い傾向があります

*困難な問題を回避する傾向が強い
 自らの歪んだ過度な食行動を軽視し
 深刻な身体状況の認識を回避してしまいます

*感情のコントロール 対処が困難
 過食につながってしまいます

こうしたことから
肥満の患者さんには 
うつ病 摂食障害などが隠れていないか注意し
肥満の治療に精神科の協力を依頼する必要も
考慮すべきとされています

 

高橋医院