ダイエットの科学3:栄養の質
この本でも これまで紹介した本で述べられていた 「栄養の質」について語られます <脂質ワルモノ神話の崩壊> 脂肪が全て悪いというのは 20世紀に間違って作られた話にすぎない そもそも 肥満を解決するには *食べる量を減らして運動する *何か1種類の食物を食べないようにする のどちらかをすればいいというは 根本的に間違った信仰である 小気味よい批判ですね(笑) 1970年代のアメリカでは コレステロールは 心血管病の原因となるワルモノという いい加減な科学的根拠に基づくコンセプトが出て 「脂質制限」という食事療法が開始された これにより 食物の多様性が減り 多くの栄養素が摂取できなくなった 脂質の摂取量を減らせば良い という“常識”には そもそも科学的根拠がなく その後の検討により *食事で摂取した飽和脂肪酸の量と 心血管イベント発症率の相関はない *チーズは飽和脂肪酸を多く含むが 心血管イベントの保護作用がある ことなどが明らかにされ 飽和脂肪酸はワルモノではないことが証明された また脂質異常症の治療薬の スタチンを服用すると 心血管イベントが減少するが 最近その効果は スタチンのコレステロール減少作用でなく 抗炎症作用によるとの推察もある 脂質ワルモノ説は どの本でも共通して指摘されていて カロリー制限と並ぶ 「信じられてきた誤ったダイエットの神話」 の本質のようです <栄養の質が大切> カロリーの「量」ではなく「質」が大切 脂質はワルモノではない ということで タンパク質 糖質の質的な考察がなされます @タンパク質 タンパク質は エネルギーへの変換効率が 脂質や糖質に比べて悪いので 摂取すると消化・代謝のために 体内でより多くのカロリーを消費する また 食後の満腹感が大きい さらに 高タンパク・低糖質ダイエットを行うと 減量後の セットポイントへの回帰によるリバウンドが 少ないことが明らかにされている さらに 肉には ビタミンB12 亜鉛 鉄などの 必須栄養素が多く含まれていて しかも これらの栄養素の多くは 肉の中の脂肪の多い部分に含まれている こうした点から タンパク質は 質の良い栄養素と言える しかし 加工食品は避けた方が良い @炭水化物 糖質 脂肪はワルモノ説により 脂質制限食が流行したことにより 摂取量が増えたのが 糖質を含む炭水化物で その結果 肥満が増え 糖尿病が増え 生活習慣病が増えた 砂糖を好む傾向と肥満傾向はパラレルで ある程度遺伝的に規定されている また 工業化の進歩により 砂糖はどんどん安くなっていて 現代人が摂取している砂糖の量は 過去最大で20倍以上増加している 果糖を多く含むソフトドリンクのカロリーが 全体の20%を占める 加工食品の65~75%には 砂糖が添加されている また果糖は 既に紹介されたように 全て肝臓に送られて 脂質に変換され脂肪肝を作り 食欲を制御するシグナルが 脳に送られるのを妨いでしまう こうした点から 糖質は 質の悪い栄養素と言える やはり糖質はワルモノ扱いされていることが 明らかになりました
高橋医院