反抗の黒
ラグビーワールドカップ 日本中で盛り上がっていますね! 一昨日は オールブラックスが予選グループの第2戦で カナダに63-0で完勝しました 開始直後にいきなり ゴール中央にスクラムトライを決めて 華麗なショーが始まりましたが 個人的には リーコ・イオアネに もう少し活躍して欲しかった どうも 去年や一昨年のような 息を飲むような切れ味が見れなくて 次の試合に使ってもらえるか心配です さて 今日はラグビーネタではなくて その オールブラックスのジャージを デザインされた山本耀司さん 書き手は不勉強で知りませんでしたが 世界的に Yoji Yamamoto で通用する方だそうです 彼がオールブラックスの ジャージのデザインをしたと知った頃 ちょうどタイミングよく 耀司さんのドキュメンタリー番組を見ました 「時空を超える黒」 時代の先端を走り続けてきた 世代を超える 服の力 再度 書き手は不勉強で 申し訳ありませんでしたが 耀司さんは 今年75歳になられ 徹頭徹尾 黒にこだわる デザイナーさんで 黒の服は 人間の身体を美しく見せることを発見した と語られます 耀司さんのデザインは 80年代に「黒の衝撃」と呼ばれたそうで アヴァンギャルド 前衛 とも称されました ご自身で 半歩踏み出すことが アヴァンギャルド 2歩踏み出したら ただのアホ と自嘲して言われていました 耀司さんが 黒という色にはまられた理由は 彼が若い頃は 街中が華やかな色にばかり染まっていたので それに反抗する黒を選んだ 人の目を邪魔したくない 汚したくない 敢えてデコレートしないファッション 無視してもらっても良い というのが原点の気持ち だそうです 1981年 30代後半でデビューしたパリコレでも エレガントの対極とされた 暗いモノトーンのデザインが モードへの反抗として評され 世界に衝撃が走ったそうです 再々度 不勉強で申し訳ないのですが この番組を観るまで 耀司さんがデザインされた服を 拝見する機会はありませんでした で 実際に拝見して 正直言って うーん という感じかな?(苦笑) 黒という色には 興味があるけれど 自分で着るのは難しいかな とも思いました それと あまりに黒一色だと 少し気持ちが悪い気もしました 番組で耀司さんが語られていたことで 印象に残ったことがあります アヴァンギャルドという言葉そのものが 服の一種のジャンルになってしまい ひとつのジャンルとして扱われることに 抵抗はあったが それでも「反抗の黒」にこだわり 40年間 アンチモードをやり続けた しかし今は 本当のモードが崩壊して無くなり始め アンチモードが主役になりかかっているので とても不安を感じる と語られていました 手で作って 手から出ていく何かに 感動 文化といった 訴えるものがある 機械には出せない 手作業の味 日本人にしかできない 精密で気持ちが入った 手の技術 これがなくなると 日本はダメになるかもしれない という語りも印象的でした 装飾的にしたくない わざと下手くそにしたい という発言も面白かったし 見る人たちの一割が わかってくれればいいと思っている 自分が決めた基準で勝負して行きたい 言葉にならないからこそ やり続けている 言葉にできるのなら続けない 思い 怒り 悔しさ 悲しみなどを 言葉にしないで服に込める というのも さすがはアーティストと思いました 興味深いことに 若者による耀司さんの支持が ネット上で広がっていて SNSに写真をアップする若者が 急増しているそうです 売上も 8年間で2.5倍増加したとか 耀司さんの服は 人と異なる個性を 着る服で表現したい人が着るそうで 黒だけで見せられる美の衝撃 ファストファッションとは異なり 流行にも流されないスタイルで 着ることが難しいから頑張って着る服 着ることでパワーをもらえる服 だそうです こうした支持は 国境を越えて広がっていて 上海の若者たちは 耀司さんの服を おしゃれで派手ではないが 着ることで 自分自身を見つめ直すことができるもの 本当の生き方 美しさを追求するには 社会を覆うメジャーなものに 抵抗するしか道はない ということを訴えているように感じる 反抗の精神を感じる などと評価していました 耀司さんご自身が お年を召され そろそろ社会的 政治的メッセージを 語るのではなく服に入れていきたいと 思うようになられたそうです 今の日本はフラット化し過ぎ 自由が意外に抑えつけられている そんな状況を若者に怒って欲しい と語られていますが SNSの力でそうした思いが 若者に伝わっているのかもしれませんね まあ 正直言って個人的には 面白い部分もありましたが すごく琴線に触れるというわけではなかった まわりから神格化され過ぎていないか? まわりが従順過ぎないか? という感じもしましたが デザイナーやアーティストの 工房 スタジオというのは そんなものなのかもしれません 番組の最後 パリコレでのショーが成功裏に終わり 外国人記者から 「あなたは デザイナーだけでなくアーティストですね」 と問われたとき 「ただの洋服屋です」と答え 「Just?」と再度聞かれ 「Just」 とウインクして答えるエンディングは なかなか格好良かったです!
高橋医院