体内では 
ストレスを緩和させる反応も起こります

ストレスを受けて
過剰に興奮 不安になることが
ないようにするための生体反応で

ストレスに抵抗している様子

自律神経系を
交感神経から副交感神経に
スムーズに切り替えさせます

こうしたメンタル的なストレス対処能力
ストレスに対する強さは
レジリアンスと呼ばれます

レジリアンスを説明する図


<ストレス対応に関わる神経伝達物質・ホルモン>

レジリアンスには 
さまざまな脳内神経伝達物質やホルモンが関与します

セロトニン

不安を鎮める神経伝達物質です

これが不活発だと
おどおどして自信がなく 
神経質で弱気に振る舞いがちで

低下すると 
うつ 不安 イライラ 依存症が起こります

セロトニン減少とストレスの関係を説明する図


GABA

神経細胞の興奮を抑えます

この働きが悪いと
緊張 不安が強く 神経質で不眠になりやすい

GABAの神経細胞の興奮抑制を説明する図

アルコール 睡眠薬 抗不安薬は 
GABA系に作用しています


@オキシトシン

愛情ホルモンと呼ばれるもので
この働きが悪いと 
子育てに無関心になります

オキシトシンの機能を説明する図

抗ストレス作用 抗不安作用があり
オキシトシンの働きが良い人は 
不安を感じにくく うつにもなりにくい

オキシトシンの抗ストレス作用を説明する図

乳幼児期の養育状態が 
オキシトシン受容体の数を規定します

オキシトシン受容体の数について説明する図


@プロラクチン

下垂体から分泌されるホルモンで
ストレスに応答して分泌が増えます

乳腺を発達させ 母乳を作り出す
脳に作用して母性愛を強くさせる
ストレスに我慢強い脳になる
といった作用があります

プロラクチン分泌とストレスの関係を説明する図


@神経ペプチドY・NPY

少ないとストレスに弱く 
多いとストレスに強いとされ

NPYの量は 遺伝的に規定されています

NPY以外に10種類以上の
ストレス対処能力に関わる物質が存在しています


<ストレス対応への遺伝および幼少時の生育環境の影響>

@遺伝の関与

日本人は 遺伝的に不安を感じやすく
2/3は不安を感じやすいタイプで

さらに1/3は
その傾向が特に強いと報告されています


@幼少時の生育環境の影響

幼い頃の生育環境も
ストレスに対応する強さに
大きな影響を及ぼします

この影響は
セロトニン GABA オキシトシンなどの分泌の変化により
生ずると考えられています

子供時代に受けたストレスが大きいと
大人になってからストレスに弱く

大人になって扁桃体が大きくなり
小さなストレスに過敏に反応するようになるからと
考えられています

子供時代のストレスと扁桃体の大きさの関係を示す図

逆に 不安を感じやすい遺伝的体質を有していても
幼少時の養育環境に恵まれていれば
過度に不安を感じなくなることが
明らかにされています

幼少時の環境は 
何かにつけて大事なのですね
高橋医院