うつ病の原因で 
ストレスについて言及しましたが

ストレスは 
現代社会を生きる人にとって
無視することができないものといえます

しかし ストレスは
糖尿病や高血圧のように
はっきりとした診断基準や治療方針があるわけでなく

有名だけれど
なんとなくその実態ははっきりしない

ぼやけたストレスのイメージ図

そんなイメージなのではないでしょうか?

そこで ストレス その対処法などについて
解説していこうと思います


<ストレスとは?>

ストレスを感じている人は57.5%もいて
40代の69.1%が最高ですが
10代から30代 20代 50代まで
どの年代でもまんべんなく多い

年代別のストレスを感じている人の比率

まさに 
現代社会では避けて通れないものです

しかし ストレスは 
正しく理解して対処すれば軽減できます

さらに ストレスは
必ずしも絶対的に悪いものでもありません

ストレスにより 
火事場のバカ力を発揮できるし
適度な刺激として
上手く利用できる可能性もあるのです


<ストレスの生物学的な定義>

ストレスは
外部からの刺激に対して 
それに順応しようとするための生体反応です

体内では 内部環境を安定させるために
生体恒常性(ホメオスタシス)が働いていますが

ホメオスタシスの説明図


外部刺激により体内で生じた変化を 
もとに戻して
ホメオスタシスを保とする反応とも言えます

ストレス反応とホメオスタシスとの関連を説明する図

外部からの刺激を受けると
実際の反応は 
まず脳で起こり
ついで脳からの指令で 
全身で多彩な反応が起こっていきます

脳から全身にストレス反応が伝わっていく図


<善玉ストレス 悪玉ストレス>

ご多聞に漏れず 
ストレスにも 善玉と悪玉があります

@善玉ストレス

適度な刺激により起こり
集中力を高めて 作業効率を上げる効能があり
生きていくうえで必要な 
本能的な反応とも言えます


善玉 悪玉ストレスの説明図
@悪玉ストレス

処理能力を超えた過度の負荷により起こってきます

負荷が大きくなりすぎると
認知機能障害 思考 集中力 判断力が低下し

感情障害として 怒り 悲しみ 抑うつ
身体症状として 不眠 疲労 自律神経症状
が見られるようになり

行動障害 薬物依存 非社会的行動 活動性の低下
などが起こってきてしまいます


<現代の社会生活とストレス>

現代社会で役割を果すには
ほとんどの場合 
多かれ少なかれストレスがともないます

現代人はストレス社会に生きている 
とも言えます

現代社会はストレス社会であることを説明する図

そのストレスを我慢して
役割を果たし 
社会に認められて受け入れられることが 
大きな喜びなので
人はストレスを我慢しようと頑張ります

哀しいことに
人が有する「他者から評価されたい」という欲求は
集団で生きていくために備わった自然なもので
その欲求を満足させるためには
人はストレスを我慢する必要があるのです


現代社会では
ひとつひとつのストレスは 
必ずしもそれほど大きくありませんが

さまざまなストレスの積み重ねにより
絶え間なく反応が引きおこされてしまうので
障害が起きるレベルに達してしまうことが多い

ストレスの積み重ねを説明する図

ヒトの体は
長く持続するストレスに対応できるシステムを
有していないのです

というのも
ご先祖様が身につけたストレス反応というのは
生きるか死ぬかというような
緊急事態的なハイリスクなストレスを乗り越えるための 
即時的なものだったので

現代社会に生きる人が体験しているような
長く持続する慢性ストレスは 
ヒトの体にとって想定外の事態なのです

現代社会のストレスが長く持続する慢性ストレスであることを説明する図

ましてや最近は
SNSが生活の一部になり
「いいね」をもらうことで安心する
もらえないと不安になる
そのためにSNS依存症になるといった 
新たな強力なストレッサーが出現してきています


糖尿病高血圧もそうでしたが
ご先祖様が作った体の反応の仕組み
現代社会の変化についていけていないために
障害が起きてきてしまう

ストレスもまた
同じメカニズムで起こっている現象なのかもしれません

 

高橋医院