ワクチンの開発・製造に要する費用と時間
ワクチンの一般的な解説の最後に 製品としてのワクチンが 開発・製造されるまでの過程と それにかかる費用と時間について説明します <開発> ワクチンの開発は 下記の工程で進行します @基礎研究 ワクチンで用いられる 体内で免疫反応を起こさせる 病原体の構成成分(エピトープ)を決定し どのような製造方法によりワクチンを造るか決めます @前臨床試験 出来上がったワクチンは 最初に動物実験により 効力試験 安全性試験を行います 通常 ここまでで1~10年かかります 前臨床試験をパスしたら 次は臨床試験です @臨床試験 *第1相試験 100人以下を対象に 1年以内で 効力試験 安全性試験を行います *第2相試験 数百人を対象に 2~3年かけて 安全性試験を行い 投与量の検討も行います *第3相試験 数千人を対象にした 大規模な 安全性 有効性試験を 2~4年かけて行います @承認申請 全ての過程にパスすると やっと承認申請できますが 承認後も 工場の品質管理試験 製品の国家検定があります <製造・販売> 小さなワクチン製造会社が造り 大手の製薬会社が販売します 市場の9割は海外の大手製薬会社の メルク ファイザー グラクソ・スミスクライン サノフィ などが占め 日本の会社はマイナーな存在です <ワクチン製造の費用と時間> 製造にかかる費用は巨額で ひとつのワクチンを製造するのに 数百~1000億円かかるとされています ウイルス 細菌を増殖させるための 鶏卵 培養細胞や 同一条件で一定の標準の品物を作るための 厳格に規制・管理された環境と設備の設定に 多くの金額が費やされます 開発に要する時間は 上述したように 最低でも数年かかるのが普通です
高橋医院