頭が痛くて頭痛薬を頻繁に飲んでいると
それが原因で新たなタイプの頭痛になってしまう
ことがあります

そうした頭痛を 
薬物使用過多による頭痛
と言います


<どんな頭痛?>

片頭痛 緊張型頭痛 の治療中に
週に2~3日以上 月に10日間以上 の頻度で
3か月以上 定期的に頭痛薬を飲んでいる方が

月に15日以上の頭痛を認める場合には
薬物使用過多による頭痛を疑う必要があります


薬物使用過多による頭痛の説明図


さほど痛くなくても予防的に薬を飲んでしまい
その結果 薬物使用過多による頭痛で 
ますます頭痛がひどくなるという
悪循環に陥る場合が少なくありません

薬物服用と症状発現の悪循環

患者さんの数は 
男性よりも女性が 約3.5倍多いとされています

意識して乱用薬物を中止すれば
2ヵ月以内に頭痛は消失するか 
以前の頭痛のパターンに戻るのが特徴です

薬物乱用頭痛と元の頭痛の移行


<症状>

症状は 
片頭痛と緊張型頭痛の混在で

悪心 無力感 不穏 不安 
集中力の低下 健忘 易刺激性を認め

起床時から頭痛が出現することも少なくありません

<原因となる頭痛薬>

原因となる頭痛薬は 
市販の鎮痛剤がいちばん多く

アスピリン消炎剤(NSAID)は 4.8年
トリプタンでは 1.7年
エルゴタミンでは 2.7年

にわたる薬物服用により 
薬物使用過多による頭痛は起こり得ます

<治療と再発>

治療は
原因と考えられる頭痛薬の服用を
すぐにやめることですが

もともと頭痛があって薬を飲んでいたのですから
それに代わる薬(これまでに飲んだことがない薬)を
飲んでいただきます

また 薬物を乱用する場合は
精神的な依存状態をともなうことも少なくないので
カウンセリングも考慮する必要があります

さらに厄介なのが再発で
離脱治療後1年以内に 約40%の患者さんで 
再度薬物の乱用が始まってしまいます

特に鎮痛剤の乱用による頭痛は 
約70%が離脱後に再発します

カウンセリングを考慮せねばならない理由は 
こうした点にもあります

頭痛薬をいくら飲んでも
全く症状が改善しないと悩んでおられる方は
こうした薬物使用過多による頭痛の可能性も考えて
早目に受診して相談されてください


何回かに分けて頭痛の解説をしてきましたが
今年の頭痛学会では「頭痛難民化」が
問題になったそうです

日本では 
頭痛に対する認識が社会 医療従事者ともに低く

家庭や職場では「たかが頭痛くらいで」と言われ
患者さんご自身も「頭痛くらいで」
我慢してしまうことが多いので 

なかなか受診されず
ひとりで苦しみ続けてしまうことが
大きな問題のようです

頭痛のために日々の生活の質が低下するのは 
避けたいことです

頭痛にお悩みの方は 
早目に医療機関を受診されてください





高橋医院