タンパク質や脂質は いくら食べてもOKか?
中央区・内科・高橋医院の ダイエットに関する情報 糖質制限ダイエットですから 糖質が減った分のエネルギーを 脂質とタンパク質でどう補うか? ここが大きな議論のポイントになります 一部の糖質制限ダイエットを推奨する本では 糖質さえ制限すれば あとは何をどれだけ食べても構わない だから無理せず長続きできる と主張されていますが 反対論者からは そんないい加減なことを言っているから危険だ というオブジェクションが出ています 糖質制限を行うと タンパク質や脂質の摂取が過剰になり 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で定めた タンパク質や脂質の推奨上限量を 超える可能性があるので 上限量を超えることの長期的安全性につい て十分に検討する必要がある という趣旨です 日本人の祖先は それほど肉食をしてこなかったので 体質的に高タンパク質食の有害性が 欧米人より低いレベルで生じる可能性がある 極端な低糖質・高タンパク食が 動脈硬化を促進するとの動物実験結果もある との注意が促され タンパク質を多量に摂取するなら *動物性タンパクより植物性タンパク *牛乳カゼインより大豆タンパク を多く摂るべきだと タンパク質の質を問う意見もあります 実際のところ 高タンパク食の影響はどうなのでしょう? 高穀類繊維の食事と比べて 高タンパク食の方が インスリン抵抗性を高くし 糖尿病リスクを上げるという報告があります また 高タンパク食による 心血管イベントによる死亡率の増加も 報告されています さらに 2007年の世界保健機関による報告書では タンパク質の多い食事は 腎臓疾患患者さんの腎機能を悪化させる 明らかな証拠があり 糖尿病 高血圧などによる 腎機能低下の可能性があれば タンパク質制限が行われるべき としています また 高タンパク食は 尿中カルシウムを増加させることが立証されており タンパク質摂取量が結石生成に影響することや 動物性タンパク質が 腎結石のリスクを増加させる可能性があるので リスクのある患者さんでは 安全な量でかつ植物性タンパク質が望ましい とされています こうした報告をみると 腎臓病を患っておられる方や 糖尿病や高血圧に合併して腎機能低下がみられる方は 糖質制限ダイエットによる高タンパク食は 避けた方が良いようです どうしても糖質制限ダイエットを試みたい という患者さんは 主治医の先生に よく相談されたから始めるべきです また 健康な方でも リスクが発生する報告がありますから 過度なタンパク質摂取は 控えた方が良いかもしれません 少なくとも 糖質さえ制限すれば あとは何をどれだけ食べても構わない ということは決してありません 脂質に関しては 栄養素の説明の項で言及したように 基本的には脂質制限の重要性は 否定されています だからといって タンパク質と同様で どれだけ食べても構わない ということはありません 既に解説しましたように 脂質の質にこだわることが大切で *トランス脂肪酸は摂らないようにする *ω3系脂肪酸を積極的に摂取する *肉よりも魚の脂を多めに摂る *調理に使う油をオリーブオイルにする *間食はナッツ類にする などといった注意が必要です 再度 繰り返しになりますが 糖質さえ制限すれば あとは何をどれだけ食べても構わない ということは 決してありません この点は 充分にご注意いただきたいと思います
高橋医院