中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


水溶性食物繊維腸内細菌により発酵されて 
短鎖脂肪酸となり
さまざまな有益な機能を発揮することを
説明しました

しかし 
日本人の水溶性食物繊維摂取量は少なく
腸内で短鎖脂肪酸が効率的に産生されているとは
言い難い

そこで注目されているのが 
レジスタントスターチ です

初めて耳にされる方も多いと思います

レジスタントスターチの説明図


レジスタントスターチは 
でんぷんの一種です

通常のでんぷんが
糖質として小腸で消化吸収され 
エネルギーとして利用されるのに対し

レジスタントスターチは 
難消化性でんぷんと呼ばれ

小腸で消化されず 大腸に到達して
そこで食物繊維のように 
善玉菌を増やし腸内環境を整える働きをします


レジスタントスターチの作用機序の説明図


れっきとした糖質・でんぷんでありながら 
エネルギーにならず
しかも食物繊維のような有用な働きを示す

なかなかの“優れもの”なわけです


でんぷんの2~10%が 
レジスタントスターチと考えられています

胃や小腸で消化されないので 
そのまま大腸に達し
食物繊維と同様に 
腸内細菌によりほとんどが発酵され
酢酸 プロピオン酸 酪酸などの
短鎖脂肪酸に代謝されます

それにより 
ビフィズス菌などの善玉菌が増え
便秘改善や腸内環境を整えることに役立ち

短鎖脂肪酸の働きにより 
血中コレステロール 血糖値の上昇を抑えます

さらに

体重増加を抑えたり 
内臓脂肪の増加を抑えたりする効果が期待できます

体重減少効果を示す図

また 糖質ですが
胃や小腸で消化されグルコースに分解されないので 
血糖値も上がりません

食後血糖値が上昇しないことを示す図

でんぷん1gあたりのカロリーは4 kcalですが
レジスタントスターチは1gあたり2 kcalと 
通常のでんぷんの半分です

摂取してから時間をかけて体に吸収されるため
朝食に食べると昼食 昼食に食べると夕食の
空腹感や食欲を抑えるセカンドミール効果により 
食事量を抑えられます

セカンドミール効果を示す図

このように
糖質でありながら 
食物繊維のような働きをするレジスタントスターチ

どんな食材にどれくらい含まれているかというと

ふかしイモ 6.0%
インゲンマメ 5.3%
バナナ 4.0%
ポテトチップス 3.5%
ライ麦パン 3.2%
とうもろこし 3.0%
コーンフレーク 2.8%
パスタ 1.4 %
白米 1.2%

ふかしイモに多いのは意外でしたが

食物繊維と同じように 
豆類や 
ライ麦パンなどの未精製穀物に多く

パスタや白米では 
必ずしも多くない


多く含まれる食品をまとめた図

また 
レジスタントスターチは
天然の食材のデンプンでは含有量が少ないため
アミロースの比率を高めるなどして
難消化性を高めた加工製品が開発され
パン パスタ 菓子類などに利用されています

これまでに解説したように
腸内細菌により水溶性食物繊維から生成される
短鎖脂肪酸の
生活習慣病予防効果はとても魅力的ですが

日々の食生活の食材から
充分量の水溶性食物繊維を摂るのは
なかなか困難なことなので

同様の効果を有する
レジスタントスターチに期待するのも
ひとつの手かもしれません

食物繊維とレジスタントスターチの差異を示す表

そういう意味では
レジスタントスターチは糖質の仲間でもあるので

極端な糖質制限で 
レジスタントスターチ摂取の可能性も否定してしまうことに
警鐘を鳴らす専門家もおられます

レジスタントスターチ 
注目し続けたいと思います
高橋医院