良い朝食 悪い夜食
中央区・内科・高橋医院の 食事と健康に関する情報 食事で摂った 栄養素の吸収・代謝に日内リズムがあって 食事の内容や 摂った時間によって 日内リズムが変動して そうした日内リズムの乱れが生じると 肥満や糖尿病になるリスクがあることを これまで説明してきましたが だからこそ 適切な時間帯に 適切な内容の食事を摂ることが 肥満や糖尿病の発症予防になりますし 既に発症している方は そこを改めることにより 病気が改善できる可能性があります では 時間栄養学的観点から見た 理想の1日の食事とは どのようなものなのでしょう? 端的に言うと 良い朝食 悪い夜食 ということです 同じ内容のものを食べても 朝だと太らない 夜だと太る それは 朝と夜では 代謝のされ方が異なるからです 朝食は最も力強く 末梢組織の体内時計をリセットして 理想的な栄養素代謝が行われるような 日内リズムをスタートさせる だから 朝食は とても重要なのです 朝起きて 朝日を浴びることで 中枢の体内時計をリセットして それから朝食を食べれば 末梢組織の体内時計も 同時にリセットされ 中枢と末梢の体内時計が同期して 栄養素の代謝を含む さまざまな体の機能が 円滑に進むようになります なぜ 朝食が ブレイクファスト と呼ばれるかというと 前日の夕食との朝食の間の 飢餓・絶食時間が長いからで Break Fast 10時間以上の絶食を経た朝食により 体は朝を実感して 体内時計がリセットされるわけです この日内リズムのリセットが 適切に行われないと 仮に栄養摂取量と運動量が 適正であっても 肥満 糖尿病が悪化するとされています ちなみに 朝食による体内時計のリセットには インスリンが関与しますが 夕食の時間帯よりも朝食の時間帯の方が インスリンの分泌が良く感受性も高く 一方で 朝から夕方8時頃までに食事をすれば 血糖の上昇が穏やかですが 夜8時以降の遅い時間帯に食事をとると 血糖上昇は高くなりやすいことが 示されています さて 朝食を食べないと *前日の夕食から 次の食事(昼食)迄の絶食時間が長くなりすぎて 低血糖になるので 肝臓のグリコーゲン(半日しか持たない)を使い切り 筋肉を壊して糖新生するため 筋肉量が減り 基礎代謝量が減ってしまう *活動エネルギーが低くなり 朝食べていない人は食べている人と比較して エネルギー摂取量は変わらないのに 5倍太っている *欠食すると次の食事が過食になりがちなので 余計に太る *数十年後に 肥満 メタボリックシンドロームにかかりやすくなり 脳卒中の頻度も高くなる *精神活動の低下 学業不振が起こる *基礎代謝と体温の低下によって 免疫力も弱くなる といった現象が観察されます これらは時計遺伝子の リズム変調に対する防衛反応で 絶食時間が長いので 体が非常事態と勘違いして 全身のエネルギー消費を 低く抑えようとするために起こってきます 欠食後の低血糖により 食後血糖が急激に増加し インスリンの過剰分泌が起こり その結果 脂肪が蓄積されて肥満になるわけです さらに 食事誘導性熱産生量(DIT)は 同じ内容の食事でも 朝食が夜食の4倍も高くなります 食事誘発性熱産生は 適正な体温上昇を促し 体脂肪の燃焼だけでなく 免疫力の増進にも関係しますが 基礎代謝と並んで 運動と関係しない 貴重な摂取エネルギー消費現象なので ダイエットには大事です そうした点からも 朝食の重要性が示唆されます ちなみに 最新の研究では 朝食を食べないと 昼⾷後の時計遺伝⼦の発現量が低下し ⾎糖値 インスリン分泌 GLP-1分泌に 悪影響が認められることが 明らかにされています 一方 夜遅い食事は 体内時計を遅らせて 末梢組織の体内時計をグチャグチャにして 日内リズムを狂わせてしまい 肥満や糖尿病の発症を促してしまいます そして 夜遅くの食事で摂取した栄養素は 筋肉や肝臓グリコーゲンの合成に利用されず ひたすら脂肪合成に使われ 脂肪が蓄積して太る </strong > この現象には 昼間に比べて夜間には BML1などの脂質代謝に関連する酵素の 発現が増加することも 深く関連しています また 夜遅く食事をする夜型の人は 脂質 菓子類を好んで食べる傾向があり 特に昼間以上に 夜遅くにピーナツやポテトチップスなどの 高脂肪食をダラダラ食べる そして 翌朝の朝食を食べない まさに 良い朝食 悪い夜食 というわけです
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