日本人の肥満は増えているか?
日本人の肥満は 増えているのでしょうか?
BMI>25の人は
男性は30%前後で 増加傾向にあるのに対し
女性は20.5%で 減少傾向にあります
そして治療が必要とされる肥満症の人は
全国で約2000万人近くいるとされています
<若い人の肥満>
近年は 若い人の肥満が増えていることが
問題視されています
男性では30~40代が
肥満の割合がいちばん多く
特にBMI>30の高度肥満の人が
20~30代でとても増えています
そして危険なことに
若い肥満者は生活習慣病の有病率が高く
若い人たちの間で
病気としての肥満症が増えているのが現状です
若い人が肥満になる原因としては
まず
肥満になりやすいライフスタイルが挙げられます
最近の若い人たちに見られる
*周りと過度に協調的である
*つらいことをしたくない
*つらいことを忘れて
友人と飲み食いして騒ぎたい
*コンビニで
糖質 脂質 カロリーの高いものを四六時中食べる
といったライフスタイルは 太る原因になります
また
経済的に恵まれず
正規の職についていない若い人は
安くて糖質の多い食事ばかり食べてしまうので
太りやすい
と報告されています
その一方
若い女性は やせ傾向にあります
これは
世界で日本だけに見られる特徴的な傾向で
その影響もあってか
2500g以下の低出生体重児が
10%近くと多くなっています
以前 ご紹介しましたが
低出生体重児は
胎内のエピジェネテイック変化で
将来肥満やメタボになりやすいので
若い女性のやせ傾向は
将来的には肥満者を増やしてしまう
リスクがあります
<小児の肥満>
また 最近は
小児の肥満も注目されています
子供が体を動かさなくなった影響が大きいと
考えられていますが
動脈硬化は
肥満になってから約20年で進行するので
小さい頃から肥満になると
それだけ早く動脈硬化も進行するわけで
注意が必要です
<肥満の地域差>
地域別に
肥満の方の割合を比較すると
北海道 東北 九州 四国などで
肥満率が多いことが明らかになりました
これらの地域では 他の地域と比べ
栄養摂取量は同じですが
日常生活で車を使い 歩かない傾向が強く
また 日常の運動励行の意識も少ないことが
報告されていて
そうしたことが影響していると
推測されています
<女性の肥満と月経異常>
女性の肥満は 月経異常に関連します
月経異常者における肥満の割合は
正常月経者の4倍と報告され
内臓肥満が多い人の方が
月経異常が多いとされています
肥満で惹起される
インスリン抵抗性により
高インスリン血症になり
インスリンは
卵巣でのアンドロゲン産生を促進し
アンドロゲンと結合する
SHBGというキャリアタンパクの
肝臓での生成を減少させるので
高アンドロゲン血症が引き起こされ
高アンドロゲン血症により
卵胞発育が障害され排卵障害を引き起こす
という機序が想定されています
そして
減量により月経周期が改善することが
報告され
5~10%の減量で
充分な効果が見られるようです
高橋医院