動脈硬化は
高血圧 糖尿病 脂質異常症などの
さまざまな生活習慣病に関与してくる
まさに厄介モノです


生活習慣病の中心に位置する動脈硬化を示す図

それらの病気が進展すると
必ず動脈硬化になりますから
高血圧 糖尿病 脂質異常症を治療の目標は
動脈硬化の進行の阻止といえます

では
どうして動脈硬化になるとまずいのでしょう?

そして 動脈硬化とは何なのでしょう?

これまでも色々なところで
動脈硬化について言及してきましたが
ここでしっかりと
動脈硬化の解説をしようと思います


<動脈硬化とは?>

動脈硬化は 動脈の加齢現象です

血管の壁が
脂肪沈着により厚くなったり
高血圧の影響や石灰の沈着などで
硬くなったりする現象です

厚くなったり硬くなったりするのは
血管壁の中にコレステロールが沈着するからです

変性したり 溢れたコレステロールが
血管のいちばん内側を構成する血管内膜の下へ蓄積して
プラークとよばれる粥状動脈硬化巣を形成します

プラークのイラスト

プラークが形成されると
内膜が血管内腔に向って盛り上がりますから
血液の通り道が狭くなり 血液が流れにくくなります

また 血管の弾力性が失われて
もろく壊れやすくなります

こうした状態になることが 動脈硬化です


<動脈硬化になると心筋梗塞 脳梗塞が起こる>

動脈硬化になると
心筋梗塞 脳梗塞が起こりやすくなります

血管が狭くなるので 血流の流れが滞るようになり
血栓などができて梗塞が起こり
血管が詰まり心臓や脳に血流が届かなくなります

動脈硬化が導く心血管疾患を示す図
心筋梗塞 脳梗塞を合わせた動脈硬化性疾患は
日本人の死因の25.5%を占め
悪性新生物に次いで第2位です

日本人の死因のなかで動脈硬化性疾患が25%を示すことを表す円グラフ
ですから
動脈硬化にならないように注意しないといけないわけです


<動脈硬化の厄介な点>

@若い頃から始まってしまう

動脈硬化が厄介なのは
中高年から始まるのではなく
若い頃から始まることです

動脈硬化というと
中高年の病気というイメージがありますが

中高年になって急に動脈硬化になるわけではなく
若い頃から徐々に
動脈硬化の形成は始まっているのです

なんと10歳前後から始まると報告されています


血管内膜の中のコレステロールなどの脂肪沈着は
年齢が高くなるにつれ徐々に大きくなり
脂肪斑と呼ばれる状態になります

20~30歳頃から脂肪斑が大きくなり
血管内側に向かって盛り上がってきます

30歳ごろになると
まさに完成された動脈硬化巣 プラークが
現れるようになります

そして 50~60歳になると
血管自体が狭くなってしまうのです

動脈硬化の加齢に伴う進行を示した図

ですから 若い頃から動脈硬化にならないように
生活習慣に注意しなければなりません


@自覚症状がない

もうひとつ 動脈硬化の厄介な点は 
自覚症状がないことです

動脈硬化の自覚症状のなさの危険性をうったえるポスター

血管が動脈硬化になっても
痛くも痒くもありませんし
手足が動かなくなるわけでもありません

無症状のまま しかししっかりと
動脈壁のなかでプラークは形成されていくのです

そして
20~30年に及ぶ沈黙の動脈硬化の進行がおこり
症状が自覚できるようになった時は
心筋梗塞や脳梗塞のリスクがあるわけです


だからこそ 自覚症状のない若い頃から
動脈硬化の危険因子を避ける生活を
する必要があるのです

動脈硬化の怖さを
認識していただくことができたでしょうか?


高橋医院