ターゲティング広告への対応
最近は 前回説明したターゲティング広告に 対抗する動きも出てきています GAFAが ターゲティングの判断を下す元となるデータは ネット上に記録された 個人の閲覧記録や購買行動の履歴ですから それを簡単に利用させないようにしよう という動きです あとで詳しく説明しますが 昨年からEUが 一般データ保護規則(GDPR)を施行しています これは 個人が自らのデータに いかに主体的に関われるようにするか という問いに正面から向き合い 制度化された法案で GAFAなどによる ネット上の個人データの利用に際して 個人の承諾の関わりを 従来に比べ大きくしようとしています そのため サイトによっては日本の利用者も 閲覧履歴提供の同意を 頻繁に求められるようになりました また アップルは昨年6月に 自社のインターネットブラウザー・サファリに 閲覧履歴の追跡を防ぐ機能の強化を 発表しています このように ターゲティング広告を受け入れない という選択肢は 着実に増えています ネット利用者が 閲覧履歴を開示しなくなれば ターゲティング広告の効果が落ちてくる 可能性もあります 個人のネット閲覧履歴の GAFAなどへの提供については ネットを利用する個々人が もっと意識して留意すべき点かもしれません さて 少し話がそれますが ターゲッテイング広告の 政治への影響に関する話題 を紹介します アメリカ限定の機能として 穏健な保守 あるいは 強硬なリベラル といった 特定の政治思想の持ち主をターゲッテイングして 広告を配信することができるそうです 政治的な主張を拡散し 投票行動などを促したいと思ったら これほど便利なツールはありません トランプとの直接的な関わりは否定されたようですが アメリカ大統領選に関与したとされるロシアは フランスやドイツでも選挙に介入し EUは民主主義を脅かすと非難しました 外国政府からのあからさまなサイバー攻撃なら 内政干渉との批判も成り立ちますが ターゲッテイング広告を上手く利用して 国内広告の体裁をとれば 取り締まるのは困難になってしまいます 個人の購買意欲 心まで操れるターゲッテイング技術が 政治にまで入り込んでくると 民主主義の根幹が揺らぐリスクもあります 今後 注意していかなければならないことだと思います 一方で ウェブサイトへの訪問の3割近くは 人ではなくAIやロボットによる というデータもあります
ですから 知らぬ間にネット上の評価がAIによってゆがめられ 人々が誤った方向に導かれるリスクもあります そんなことが起こったら ネットデータの分析の基盤が揺るぎかねません そうした可能性も 充分に心に留めておく必要があるでしょう
高橋医院