いかにして巨大データを収集するか
GAFAのデータ収集の基本は ネット閲覧者の日常データの収集です <知らぬ間にかき集められている日常生活のデータ> 企業が狙うのは 消費者の日常のデータなのです GAFAなどに共通しているのは ネット上で便利なサービスを提供することで 消費者に負担を感じさせずにデータを収集する ということです インターネットの閲覧だけでなく 最近は あらゆるモノがネットにつながる IoT技術などが駆使されて 人々の日常生活のデータが 大量にかき集められています 新たな技術を用いたデータ収集の動きは 今後 さらに拡大が続きそうです こうして多種多様なデータが大量に集められると 新たな活用方法が考案され それによりさらにデータが生み出されるという 好循環が生まれてきます 最近注目されているのが 異業種間でのデータの相互利用です 異なる分野のデータを掛け合わせれば 新しい知見を生み出せます 新しいデータを やみくもに集めまくらなくても 今あるデータにかけ算の原理を応用すれば データは無限に増え続けるのです どんな情報をどう使うか 知恵比べが熱を帯びてきています ヤフーは2017年から データを軸にした異業種連携の試みを広げ “データのかけ算”を 効果的な広告戦略などに役立てています このように 人の行動が生み出すさまざまなデータを巡り 企業の間では かつてないほどの異業種連携が 盛んに行われているそうです ただ こうした流れのなかで問題になっているのが 業種間でデータ管理の方法が異なっていることで ある種の翻訳作業を行わないと 簡単にかけ算ができません 異業種間でのデータ管理システムの統一が 求められているそうです <医療 健康管理の分野での個人データ収集> 医療 健康管理の分野でも 新たなデータ収集が試みられています 人体から得られるビッグデータの収集を目的として 身体がネットにつながる IoTならぬIoB(Internet of Bodies)技術が 開発されています
日本では 内閣府と東京大学や京都大学が共同で 2018年6月からIoT技術を使い 生活環境と血圧の関係を即時測定する実証実験を 開始しました 得られたビックデータを分析して 未知の病気リスクの同定を狙っています また 実用化に向けて動き出しているのが スマートコンタクトレンズです コンタクトレンズがデータ収集端末となり 涙から血糖値 微弱電波から心拍 毛細血管から血圧 などを測定し 無線で情報を飛ばして 個人の健康状態を把握します そういう話を見聞きすると なんとなく面白そうだと思ってしまいます(笑) しかし 経済協力開発機構(OECD)は 2017年の提言で 国家や企業による野放図なヘルスケアデータ収集を 牽制しています 日本でも 2017年5月に全面施行された 改正個人情報保護法により 医療データには特別な扱いが求められています 一方 中国では 医療情報は大規模に データビジネスに組み込まれています 彼等が医療データ活用の一環として押し進めているのが 遺伝子情報の分析を病気の予防などにつなげる “精密医療”の推進で 国の重点政策のひとつに挙げられています <中国の「信用スコア」> その中国では「信用スコア」なるものが 人々の経済活動に影響を及ぼす 大きな存在になっているそうです 一見 支払い能力と関係なさそうな150以上の質問に答えると AIが信用スコアをはじきだして スコアに応じて 年0.9〜12%の金利で無担保融資を受けられる仕組みです 中国・アリババ集団による 信用評価システム 芝麻(ゴマ)信用では 決済や公共料金の支払い履歴などから 信用力を数値化し 高スコアなら シェア自動車 ホテル 民泊などの保証金が免除され 無担保融資の利用も優遇されます 個人情報をさらすほど スコアが上がりメリットが還元されるため 個人がこぞって自らの情報を登録しているそうです ノンフィクション書籍をよく購入する人は返済能力が高い ある特定商品を購入する人は返済能力が高い といった法則も見いだされているとか 日本でも 一部の金融機関が 同様のシステムの立ち上げを計画しているそうです 確かに現象としては面白いと思いますが でも 経済的格差が問題とされている今の世の中で 新たな格差を生んでしまうシステムになる リスクもあると思います それに はっきり言って 世知辛い!! システムにデータを提供する人々が そうした可能性を認識され 承知の上で提供されているのか? どうなのでしょう?
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