従来の方法論のハイリスクアプローチ
健康格差の改善に無効なら 
どうすればよいのでしょう?

<ポピュレーションアプローチ>

ここで登場するのが
ポピュレーションアプローチ
という方法論です

ポピュレーションアプローチは
予防医学で重要な施策で

ポピュレーションアプローチについて説明した図

ハイリスクアプローチのように
リスクのある個人を狙い撃ちするのではなく

ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチの違いについて説明した図

健康状態の良い人も含めて
広く多くの人を対象として
原因となる環境要因を明らかにして
それを狙い撃ちして解決しようとする
アプローチ方法です

ポピュレーションアプローチの利点を説明した図

人が不健康な生活・行動をする
「原因の原因」を探り
個人でなく社会の環境を変えることで
より多くの人々が健康的な生活ができる社会に
しようとする試みです

具体的な施策としては

*公共空間での禁煙

*タバコ代の値上げ

*学校給食 社員食堂でのヘルシーメニューの提供

*肥満対策としてのジャンクフードのテレビCMの規制

などがあげられます


<ソーシャルキャピタル>

もうひとつ 
健康格差解消のキーとなる概念が
ソーシャルキャピタルです

ソーシャルキャピタルは
地域住民どうしのつながり 人の絆のことで
社会関係資本と訳されることもあります

項を改めて詳しく説明しますが
ソーシャルキャピタルの再構築 強化により
高齢者の疾病発症 認知症などが
改善できることが明らかにされています


ソーシャルキャピタルの有用性を説明した図
例えば
ポピュレーションアプローチにより
参加者の対象を健康な老人にも広げて
気軽に自分から行きたい会合を企画したりして
ソーシャルキャピタルを強化すれば
健康格差を解消できるのではないかと
期待されています

ソーシャルキャピタルについて説明した図


<行動経済学を応用した仕掛け>

ここで 
もう一押しの効果が期待されているのが
行動経済学を応用した仕掛け」です

規制や強制でなく
人が自発的に自分の利益になる選択を
促す仕組みや仕掛けを
行動経済学の
「ナッジ・肘で軽く突く」ような方法で
考えるのです

ナッジについて説明した図

個人の自己管理に訴えるのではなく
知らぬ間に健康になる環境を
国や行政が作る新たな試み

例えばアメリカでは
健康的だけれど価格が高い生鮮食品を 
街中で買いやすくできるように
生鮮食品を売る店に 税の優遇措置をとりました

メキシコでは
スクワットをすると
地下鉄の乗車券をタダでもらえる万歩計を
無料で配布しました

このように企業のマーケティング手法を応用して
政策に「仕掛ける」力を織り込んで
健康格差を解消する
政策 公的サービス 商品を作る

健康に無関心な人々の
直感に訴え 興味を持たせる

健康に無関心な層をいかにして引き込むか
が重要な問題で

健康食品を
ジャンクフードのようなパッケージデザインで売る

おいしい うれしい 楽しい 大好き などの
直感的でわかりやすいメッセージにより
興味をひいて継続させる

ナッジの具体例を説明した図

そうした工夫が試みられています

健診受診率を増やす工夫としては
受診率が低い
専業主婦 自営業者 非正規雇用者を
ターゲットにした
仕掛ける工夫が考案されています


ちなみに日本では

「健康日本21」の目標として

*健康寿命の延長

*健康格差の縮小

のふたつが掲げられていて

「健康日本21」の目標を説明した図

健康格差を解消できれば
10年間で5兆円の社会保障費を削減できるので
健康格差を生む社会環境に目を向けて
どういった政策をうつか検討されていますが

「健康日本21」の具体的政策を説明した図

はたして どのようなうまい手を
見ることができるのでしょう?
高橋医院