画商とキュレーター
山本さんは 資本主義とアートという文脈の中での ご自分のお仕事である画商の立ち位置について こんな風に説明されます <画商とは?> 画商とは 「アーティスト」と「コレクター・愛好家」 を結ぶ存在で 芸術と経済をつなぐ存在でもある アート作品の 適正な価格を判断して売買する 作品の持つ力 意味 時代の流れ 美術の歴史のなかで どのような意味があるか判断する 美術とは 歴史と文化の蓄積のなかで 生まれてきた価値の体系なので ある美術作品が そのコンテクストのなかで どのような意義を有しているか? それをきっちりと判断して なおかつ コレクターや愛好家が納得して買いたくなるように 上手に言葉で説明できないといけない そして こうした判断力 説明力は たくさんの作品を見ていないと養えない と言われます ちなみに 山本さんのご尊父は古美術商だったそうですが 古美術の世界は 端的に言うと贋作の鑑別をすることが仕事で 作品の品格を見分ける 臭い立つものを嗅ぎ分ける嗅覚 見極める目 が必要とされるそうです 山本さんは そうしたご尊父の姿を見て学ばれたようですが この 作品の品格というコンセプト 興味深いのですが あとでまた登場してきます さて 山本さんは長い間 画商をされていますが 現代アートを購入する人たちのプロファイルが 時代とともに変化している と 面白い指摘をされます かつては 製造業者が 作品の美しさ 面白さにひかれて購入され ご自分の家や会社の部屋に 飾られることが多かったそうですが 最近は 購入者の主役は金融業者となり 彼等はアートを投資対象として 購入されるのだそうです
なるほどです わかるような気がします! ウオール街のシンボルの牛さんも アートが大好き?(笑) <キュレーターとは?> 山本さんは 画商の解説から話を転がして キュレーション キュレーター についても説明されます キュレーションとは 豊富な専門知識 情報を取捨選択し つなぎ合わせることで 新しい価値を生む作業で 美術館 博物館などで 面白いテーマの企画展を行う仕掛け人が キュレーターです 書き手は キュレーターという仕事にとても興味があり ある種の憧れも感じているのですが(笑) 最近のキュレーターさんは 単なる企画立案だけではダメで スポンサー探しまでしないといけないそうで ビジネスセンスも要求されるとのこと そうか 大変なのですね 特に国公立の美術館や博物館は 独立行政法人化して 自分で稼ぎなさいと言われているので キュレーターさんたちの責任は 益々重大になっているそうです ちなみに 山本さん 画廊もキュレーターである と ご自分の立ち位置を しっかりアピールされます(笑) 利休は代表的なキュレーターだった というエピソードも とても面白かったです 彼は わび茶の世界を 作法だけでなく 茶器なども含めて総合的にプロデュースして そこに武士達をひきこみ 彼等の価値観を変えました そして室町美術に それまで主流だった中国一辺倒な価値観を転換させ 日本独自の美の価値観を作ろうと 壮大な価値転換を試みたのです それは まさにキュレーションにほかならず 信長も同じような心意気を有していたので 利休を取り立てたのだろうと 推測されています 利休は 面白そうですよね! 書き手はとても興味があるのですが まだ彼の思想や生き様を きちんと勉強したことがありません いつか利休の世界を探訪してみたいです
高橋医院