山本さんは
芸術が持つパワーについて説明されていきます

<美の力>

武力も 権力も 
美の力にはかなわない 
教養 文化の力にはかなわない

なぜなら
美は 既成の価値観を覆し 
新たな世界を構築する力を有しているから

美の力を強調するポスター

どんなに軍事力や経済力があっても
独自の文化 芸術があり 
それが他国から認められないと
国としての存在や誇りは感じられない

逆に 
そうした説得力のある文化や芸術がある国は
覇権を維持し拡大することができた


なるほど 納得できます


圧倒的に美しく 品格があるもの 
高い文化や教養に接すると 
負けた と思う

負けたというより 
やられた 参った という感覚で
自分もそれに近づきたいという憧れを持つ

だからそうした機会は 
新しい価値との出会い
新しい可能性の誕生でもある


こうした文脈から
太平洋戦争での日本の敗戦を分析すると
もちろん 軍事力 経済力で
打ち負かされたのですが

その後に 
アメリカ文化に一気に蹂躙された 
という側面がある

まさに文化の敗戦 
価値観の転換であり
そのために 
自分たちの文化の本質まで見失ってしまった

これこそが 民族や国家の真の敗北である 
と総括されます

耳が痛いですね

戦後のアメリカ文化が跋扈する日本の風景

 
ちなみに前回少し紹介した
作品の品格についても言及されます

品格を強調するポスター

日本文化で言えば
雅楽 能 歌舞伎の順で品格がある 
と私見を述べられ

雅楽は外連味がなく
はったりを利かせたり 
ごまかそうとするところがない

雅楽の演奏風景

何かにおもねったり
取り入ったりしようとしない

そのために自由であり 
自分の価値と感覚で自立している

そういう純粋性から
品や品格はおのずと匂い立ってくる

思想やコンセプトがなく
奇を衒っただけの作品は品格が劣る

とまとめられます


書き手は読みながら
思わず ほくそ笑んでしまいました(笑)


<アートの本質>

では そうした力を持つ
アート 芸術の本質とは何でしょう?

芸術の本質は
価値の転換と飛躍である

と 山本さんは言われます

価値の転換が行われている様子

どんなガラクタでも
あるコンセプトのもとで 
価値を再構成して新たな価値を生む

この価値の転換をするのが
アーティストで
価値の転換こそが 
芸術的 創造的な行為である

そして重要なことは
その行為が 自己満足で終わらず 
人に共感や感動を与えること

それにより 
芸術作品に価格がつき商品となる 
というのです

再度 なるほどです

現代美術の作品


なかでも現代アートには
それまで価値を見出さなかったものや
素材を作品化することで
新たな価値を生み出す
という特徴があるそうで

すぐに人には理解されないので 
時間がかかるジレンマもあると言われます

現代アートは 
真剣にバカバカしい遊びをするといった側面もあり
そうした行為は
不測の事態が起きても心が折れないように
遊び心のある生き方 
考え方を身につけることに役立つとのこと

バカらしさは創造につながるし
生きていくのが楽になる 
そうです(笑)

で 近代以前の絵画には
ストーリー性 メッセージ性があり
神の物語を伝える役割があった

聖書の物語を伝える宗教絵画

しかし 現代社会で 
神の存在 近代理性が疑われ始めたことで
そうした絵画の存在意義が薄れてきた

ニヒリズム アトム化・孤立化した個人が
存在するようになり
そうした個人は 不安を抱えるようになった

こうして 神から離れることで
人は自分の頭で感じ 
考えるようになったけれど
同時に不安や不安定を抱え込むことに
なってしまった

不安を感じる人

それでも ひとりひとりが独立して 
それぞれ感じ 考えることができる世界は
自由があり 芸術 アートを
楽しめる世界である

芸術は 
柔軟な精神で価値の転換を行い
美という価値で 
新たな求心力を持ちうるから

芸術の力で
現代人が抱えるニヒリズムを
克服できるのではないか?

山本さんは そんな風に語られます

現代芸術の奇抜な作品


うーん どうなのでしょうね

論理の流れはとても納得できますが
芸術作品を見て価値観が変わる人が
そんなにたくさんおられるでしょうか?


山本さんはまた

美しさは 対象から 
時間的 空間的に距離を置くことで見えてくる

日常生活にどっぷりつかっている間は 
美は認識できない

美は距離感から生まれるのだ

とも指摘されます

現代芸術の奇抜な作品

うーん 感覚的に共感できる気もしますが
でも 難しい、、、(苦笑)

 

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