COPDの診断 重症度
COPDの診断に関わる解説をします <診断基準と疑うべき状況> @診断基準 *長期の喫煙歴などの暴露因子がある *気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで 1秒率(FEV1/FVC)が70%未満 であることを確認する *他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外すること @疑うべき状況 *40歳以上で喫煙歴がある *労作時呼吸困難がある *風邪を繰り返す 回復に時間がかかる <スクリーニングのための質問票> COPDの罹患の可能性を疑った場合 下記の質問票を用いてスクリーニングします @年齢 *40~49歳 0点 *50~59歳 1点 *60~69歳 2点 *70歳以上 3点 @風邪をひいていないのに 痰が絡んで咳が出ることがあるか? *いつも 1点 *ほとんどいつも 1点 *ときどき 1点 *まれに 0点 *ほとんどない 0点 @走ったり 重い荷物を運んだりするとき 同年代の人と比べて息切れしやすいか? *はい 1点 *いいえ 0点 @この1年間で走ったり 重い荷物を運んだりするとき ゼイゼイ ヒューヒューを 感じることがあったか? *いつも 2点 *ほとんどいつも 1点 *ときどき 0点 *まれに 0点 *ほとんどない 0点 @これまで タバコをどれくらいの本数吸っていたか? 1日の平均本数X喫煙年数の合計 *吸わない 0点 *1~399 1点 *400~999 2点 *1000以上 3点 以上の総合点が4点以上だと COPDにかかっている可能性ありと判断されます <スパイロメトリー検査> COPDの診断には スパイロメトリーによる気流閉塞の検出が 必須になります スパイロメトリーは 健診などで行われる肺活量の検査です @スパイロメトリー 最大吸気から(最も深く息を吸う) 最大努力により 一気に呼気する(吐き出す)して その動態を記録に残します 実際に検査をされたことがある方は イメージできると思いますが 肺活量は どれだけ吸えるかでなく どれだけ頑張って吐けるか を評価するものです 検査をするときに 検査技師さんが 「ハイ 頑張って 吐いて 吐いて もっと吐いて!」 と 隣で大きな声をかけられるのは そうした理由からです この解析から *FEV1・1秒量 =1秒間に吐き出せる量 *FVC・努力性肺活量 =思い切り吸ってから思い切り吐き出せる量 *1秒率 =1秒量の実測値 / 年齢 性別 身長から予測される1秒量 の各指標が求められます @呼気時に末梢気道が閉塞する 1秒率が70%未満 つまり最初の1秒間に吐ける量が 全体の肺活量の70%未満だと 気流閉塞・閉塞性換気障害と診断されます 吐こうとしたときに気道が閉塞するので 吐くスピードが遅くなり 1秒間に吐ける量・1秒量が減少するのです @気管支拡張薬吸入後に測定する 気管支喘息だと 気道閉塞は拡張薬で改善するために 喘息とCOPDの鑑別ができます <重症度分類> @1秒率で評価した 気流閉塞の障害の程度により 重症度が決まります @重症度分類 *Ⅰ期 軽度 %FEV1≧80% *Ⅱ期 中等度 80%>%FEV1≧50% *Ⅲ期 高度 50%>%FEV1≧30% *Ⅳ期 極めて高度 30%>%FEV1 <病型分類> 気腫型 非気腫型がありますが CT検査で容易に分類されます @気腫型 日本に多いタイプで 痩せている人が多い 気腫の分布 重症度は 遺伝的素因 FEV1の低下 予後 骨粗鬆症 身体活動性・筋肉量と関連します @非気腫型 気道病変が優位なタイプで 喘息 細気管支炎などとの鑑別が重要 @CTで両方が多いタイプ 呼吸困難などの症状が強く 増悪を起こしやすいとされています
高橋医院