COPDの症状 治療について説明します

<症状>

@痩せている人が多い

@労作時の呼吸困難

ある程度進行してから出てくる症状で
持続性かつ進行性で
年単位でゆっくりと進行 悪化していきます

ひどくなると日常生活に支障をきたすようになります

@慢性の咳 痰

呼吸困難に先行して出てくることもあります

咳は
タバコ 風邪のせいと考えられて
軽視されることが少なくありません

最初は間欠的で
徐々に毎日見られるようになり
1日中持続することもあります

痰を伴うことが多いですが
伴わないこともあります

痰が膿を含んでいる場合は
感染症の合併を考慮して対処します

COPDの症状についてまとめた図

@その他の症状

進行すると
体重減少 食欲不振が起きてきて
これは生命予後に影響します

@息切れのスケール

COPDの重要な症状である息切れは
下記のようにグレード分けされます

息切れのスケール表

*グレード0
激しい運動をしたときだけ

*グレード1
平坦な道を早足で歩く
緩やかな昇り坂を歩くとき

*グレード2
息切れのために 
同年代の人より歩くのが遅い
息切れのために
平坦な道を歩いていても立ち止まることがある

*グレート3
平坦な道を100mあるいは数分歩くと
息切れのために立ち止まる

*グレード4
息切れがひどく家から出られない
衣服を着替えるときも息切れする

@喫煙者の呼吸機能

非喫煙者より加齢による低下速度が速いが
COPDが進行すると 
加速度的に低下するのが特徴です

COPDの進行にともなう喫煙者の呼吸機能の加速度的低下を示すグラフ

しかし 個体差が大きく
3~5年程度 維持される人もいれば
急速に低下する人もいます


<自然歴>

@早期

無症状ですが
スパイロメトリーでは1秒量の低下を認めます

ですからCOPDが疑われたら
早目にスパイロメトリー検査を行い
診断を確実にして
早期治療を開始することが大切です

@中等度

咳 痰 息切れなどを自覚するようになると
中等度に進行しています

COPDの症状の自然歴を示す図表


<管理目標>

@現状の改善

*症状とQOLの改善

*運動耐容能と身体活動性の向上と維持

が目標となります

@将来のリスクの低減

*増悪の予防

*全身併存症 肺合併症の予防 診断 治療

症状が安定しているうちに
こうした対処を行うことが大切です

こうした管理目標の達成は
進行抑制 生命予後改善につながります

<治療>

@禁煙

COPDの発症リスクを減少させ 進行を抑制する
最も効果的で経済的な方法で
禁煙が確実に行われることが基本中の基本になります

1秒量の低下を抑制し(年間低下量を半分に減らせる)
増悪を減少させ
死亡率を減少させます

禁煙によるCOPDの改善効果を示すグラフ

また 重症例でも 
禁煙により予後改善が期待できます


@ワクチン接種

*インフルエンザ

*肺炎球菌

両方のワクチン接種を行うことにより
増悪の頻度と死亡率を低下させることが
明らかにされています

COPDにおけるワクチン接種の重要性を示す図


@気管支拡張薬

COPDの薬物治療の中心で
気管支平滑筋を弛緩させることで
気道抵抗の低下 過膨張の改善が得られます

1秒量の改善
息切れ 運動耐用能 QOLが改善します

飲み薬より吸入薬が推奨されています

軽度の場合は 短時間作用性
中等度の場合は 長時間作用性
を用います

気管支拡張薬には

*抗コリン薬

*β2刺激薬

*メチルキサンチン

の3種類の作用機序の薬があり

COPDにおける気管支拡張薬の使い方をまとめた図


単剤で効果が不十分な時は 
多剤併用を行います

薬物療法は
COPDの増悪の予防に有用で
進行や死亡率を抑制する可能性があると
考えられています
高橋医院