COPDには さまざまな合併症があります

<全身の併存症>

喫煙 加齢にともなう併存症が多く
それらの多くは
QOL 予後に悪影響を及ぼします

COPDの合併症についてまとめた図

COPDでは
炎症は肺だけでなく
全身に存在すると考えられており

安定期でもCRP TNF-α IL-6などの
炎症性のマーカー サイトカインが高値で
合併症の病態に関与すると推測されています

COPDの病態における炎症性マーカー サイトカインの重要性を示す図

@骨粗鬆症

COPDの35%に合併し
気腫性病変の程度と骨密度の低下が
密接に関連します

COPDと骨粗鬆症の関連を示す図

ですからCOPDでは
骨粗鬆症の早期診断 骨折予防に注意すべきです

@サルコペニア フレイル

COPDの1/3で下肢筋力の低下 減少を認め
安定期の患者さんでも15%に
サルコペニアが合併します

COPDとサルコペニアの関連を示す図

年齢 気流閉塞の程度と相関して
合併率が増加することが報告されています

COPDとサルコペニアの関連を示す図

@心血管疾患

心不全がCOPD約30%に合併し
不整脈の合併も多く存在します

また 脳梗塞 脳出血のリスクも高いとされ
日本では13~22%で合併が見られると
報告されています


@消化性疾患

胃潰瘍がCOPDの20~40%で合併し
GERDの合併率も高いと報告されています

@不安 抑うつ

COPDの息切れなどの症状の進行
それにともなうQOLの低下により
不安 抑うつが高頻度に合併することが
明らかにされています


@代謝性疾患

COPDでは糖尿病の発症率が1.5倍高くなると
報告されていますが
お互いの病態や予後への関与は少ないようです


<肺の合併症>

@喘息

COPDの15~20%の症例で喘息との合併が見られ
それぞれの臨床的な特徴を有する
オーバーラップ(ACO)の存在が明らかにされています

喘息とCOPDの合併について説明した図
オーバーラップ(ACO)について説明した図

しかし
ACOの増悪頻度 予後については
一定の見解が得られていません


@肺がん

COPDでは肺がんの合併リスクが
3~7倍高くなります

COPDにおける肺がんリスク増加を示す図

合併率は6%ほどで
肺がんが死因となるケースは
15%ほどとされます

気腫性変化を示すCOPDで関連が強く
肺がんの種類としては扁平上皮癌が多いと
報告されています

逆に
肺がんの40~70%がCOPDを合併しています


<COPDの増悪>

安定期のCOPDの経過中に
息切れ 咳 痰の増加
胸部不快感 違和感の出現 増強
が見られることがあり

COPDの増悪についてまとめた図

その場合は 治療の変更が必要とされます

また増悪は
QOL 呼吸機能を低下させ 
生命予後を悪化させます

増悪による生命予後の悪化を示す図


@増悪の原因

呼吸器感染症が多く
インフルエンザ菌 肺炎球菌
インフルエンザウイルス パラインフルエンザウイルス
アデノウイルス ライノウイルス
マイコプラズマ
などの微生物が原因となりますが
30%では原因が特定できていません


増悪の原因となる呼吸器感染の原因をまとめた図

<予後>

呼吸困難感が出現してからの
5年生存率は70%
10年生存率は40%
と報告されています

@予後規定因子

*高齢

*男性

*現在も喫煙している

この3つの因子が
予後に最も影響を及ぼすとされています

タバコを吸う高齢男性の姿

それ以外にも

*呼吸困難の程度の強さ

*重症度
(5生率は I期で90% Ⅱ期で80% Ⅲ期で60%)

COPDの重症度と生存率の関係を示すグラフ
*肺気腫の程度の重さ

*低酸素血症

*肺高血圧症 肺性心

*身体活動性の低さ

身体活動性の低さと生存率の関係を示すグラフ
*低栄養 体重減少

栄養状態と生存率の関係を示すグラフ
*増悪の繰り返し

増悪の繰り返しと生存率の関係を示すグラフ
などが 予後に影響を及ぼします

@治療による予後の改善

COPDの治療では 禁煙が最も重要です

喫煙者は非喫煙車より平均寿命が10年短く

35歳前に禁煙すると さまざまなリスクが回避でき
禁煙後10~15年で
死亡リスクが非喫煙者と同じレベルに戻るとされています

禁煙による改善効果を示すグラフ

COPDにおいても
禁煙は予後を改善するとされます

また それ以外にも
インフルエンザワクチンの接種
慢性呼吸不全への酸素投与
などによる予後の改善が明らかにされています


代表的な呼吸器疾患のひとつとなった
COPDについて解説しました

喫煙している方が周囲におられたら
COPDの話をして
思い切り 脅かしてあげてください!


さて 今年のお勉強ブログは 今日で終了です
1年間お付き合いいただき ありがとうございました

今年はダイエットについて たくさん解説しました
日々の食生活 生活習慣の改善に
参考になっていれば幸いです

来年も さまざまなテーマについて解説しますので
乞うご期待です!


 

高橋医院