うつ病の治療と予後
うつ病の治療と予後について説明します
<治療> @急性期には十分な休養が重要 急性期には 疲れきっているこころとからだを リフレッシュさせます この期間は 家で何もしないでゆったりとして過ごすことが 大切です
うつ病の患者さんは 「常に何かをしていなければいけない」 「休むことは罪だ」 と考える人が多いため なかなか休みをとろうとしません 仕事を軽減する 残業をしないというレベルから 仕事を休んで療養するというレベルまで 状況に応じて さまざまな形で休息をとるようにします 自宅療養をしていても 家族に申し訳ない気持ちで過ごしていると 落ち着かないというような場合には 軽症であっても 一時的に入院するのがよいこともあります @初期治療 1~3か月 *薬物の効果があらわれるまで 4~6週間かかります *薬を飲み始めてから 1段ずつ階段を上るような感じで ゆっくりと症状が回復してきます *症状は下記に示す順番で改善してきます イライラ 不安感が少しおさまる 憂うつ感が軽くなる 生活への興味が戻る 簡単な家事や外出ができる 生活が少し楽しめるようになる @回復期 4~9か月 症状がほぼなくなり この期間が2ケ月間続いて 初めて寛解になります 良くなった状態を維持するために 以下のことに気をつけます *睡眠 食事など 生活リズムの乱れを整える *深夜に明るい場所に行く 長時間のパソコン スマホ作業 テレビ ゲーム アルコール カフェイン などの行動は避ける 再燃を防ぐために 症状がよくなっても しばらく薬を続けます 初発例では 寛解後4~9か月間は 急性期と同用量で維持します 再発例では 2年以上の維持療法を行います 再発例は 双極性障害の可能性が高いので注意します @再発 8週以上の寛解期がないと 再発リスクは3.7倍高くなります 反応後4~5か月以内に服薬を中止すると 50~70%の割合で再発します しかし治療を継続すれば 再発率は0~20%程度ですみます 回復期の継続治療が再発リスクを46%抑制する 維持治療が再発リスクを44%抑制する というデータもあります また 再発を繰り返すたびに 再発率は高まります @再発予防期 1年~ 徐々に生活や職場への復帰を考えます まだぶり返す可能性もあるので 薬の服用を勝手にやめないことが大切です 精神療法 カウンセリング 認知行動療法(思考パターンの改善)も行います 森田療法 内観療法 など さまざまな治療法がありますが 共通している点は 自分の中に持つ「生きる力」を見出す点です @精神療法 心理的治療 特に再発を予防するために効果がります @認知療法 うつ病の患者さんによくみられる 「否定的な思考パターン」を 専門的な知識と経験をもつ医師との 話しあいなどによって客観的に整理し 「より柔軟な思考パターン」に していこうというものです 時間をかけて悩みの根本に向き合い 認知の偏りを修正して解きほぐしていく治療 ともいえます ものごとをどうとらえるか どう考えるか が気分に影響するので その認知のあり方に気づかせて より現実的で 問題解決に結びつきやすい 認知のあり方への変化を促し 気分を安定させることが目的です 薬と同等以上の効果が期待できるとされています <予後> 予後は悪くありません うつ病の8割ほどは ほとんど以前の元気が回復している状態 =「寛解」状態を 迎えることができるとされています
高橋医院