こんなタイトルですが
物騒な人種差別の話ではなく 麹の話題です

先日 生酛 山廃のお話をしたので
左利きはどうしても
について語りたくなりました(苦笑)


その昔 
某和食屋さんでくつろいでいたとき
「克」という名の
今まで飲んだことがない芋焼酎をいただきました

「克」のボトル

口に含んだ途端
あっさりした甘めの味わい 
華やかな香りがしたので
「黄ですか?」
とお店の方にうかがうと

予想に反して
「白と黒のブレンドです」
とのお答えが帰ってきました


このマニアックな会話(苦笑)で出てきた

白 黒 黄色

焼酎を造る時に使われる麹菌の種類なのです

白 黒 黄色の麹菌


以前 説明したように
米や芋からお酒を造る場合
アルコール発酵の原料である糖を得るために
それぞれに含まれるデンプンを
糖に変換しなければならず

麹がでんぷんを糖に変換する過程を示す図


その際 麹の働きが必要とされます

そして この麹菌の種類により
お酒の香りや味わいが規定されます

焼酎を作るときは
もともと清酒作りに使われる黄麹が
用いられていましたが

黄麹

黄麹は雑菌に弱いので
高温状態ではお酒が腐敗することがあり
焼酎の名産地である暖かい九州では
黄麹の管理が困難でした

そこで
さらに暑い沖縄での泡盛作りに使われていた
暑さに強い黒麹が
使用されるようになりました

黒麹

黒麹はクエン酸をたくさん作るので
雑菌の繁殖を抑えられ
雑菌が繁殖しやすい暖かい地方でも
便利に使えるのです


その後 
黒麹が突然変異した白麹が発見されました

白麹

白麹は黒麹と同じように
クエン酸を生成するので雑菌に強く
さらに酵素の力が強いので
発酵によるアルコール生成も進みやすく
より品質の高い焼酎造りが可能になりました

また 白麹は仕込みのときに汚れない
という利点もあるそうです


このように
焼酎造りに使用される麹の種類は
変遷してきましたが

それぞれの麹で造った焼酎は
独特の香りと味があります

白麹を使うと
穏やかでマイルドで スッキリしていて
芋らしい甘味がある焼酎になります

白麹で造った焼酎の味を説明する図


黒麹だと
辛口で独特の苦みを有し
力強くキレがあり 
ガツンと濃く重厚な味わいになり

香りも
個性ある香ばしい”くさみ”に近いものになる

黒麹で造った焼酎の味を説明する図

黄麹では
果物のような華やかな香りがあり 
軽快な飲み口で

黒麹とは正反対で
良くも悪くも芋っぽさを
あまり感じない華やかさがあります

黄麹で造った焼酎の味を説明する図

それぞれの麹を使った代表的な銘柄は
白は 「森伊蔵」 「霧島」 「白波」 など
黒は 「佐藤黒」 「伊佐美」 「村尾」 など
黄は 「魔王」 「冨乃宝山」 など

個人的には レアですが
「流鴬(るおう)」の黄がお勧めです

「流鴬(るおう)」のボトル


実際に飲み比べてみるとわかりますが

麹の種類で
こんなに味わいや香りが異なるのかと
びっくりします

黄麹なら 
芋が苦手の女性にもお勧めですし

「男は黙って」派なら
しっかり黒麹がお勧めです

あまり個性が強いのは好まないなら
白麹が無難です


白 黒 黄色の麹の特徴を比較した図

書き手は
最初に黄麹を飲んでから
次は黒麹に移行して
グラスの数が増えていきます(笑)

でも 今回教えていただいたような
白・黒のブレンドがあるなんて
知りませんでした

で 調べてみると

白と黒のブレンドは
岩いずみ 薩摩嵐 美し里 克
まろやか すっきり

黒と黄色のブレンドは
千代吉 ボイトラ
豊かで華やか

黄色と白のブレンドは
鳳翔の舞 味蔵

などという銘柄があるようです

黄麹 白麹をブレンドしている様子

うーん 麹道 
まだまだ奥が深そうですね!(笑)

麹をブレンドするなんてアイデアは
どこから出てきたのかな?

書き手の皆さんも 
白 黒 黄
色々と飲み比べて
自分好みの味と香りを探してみてはいかがですか?

 

高橋医院