インフルエンザウイルス
*ヒト以外の動物における感染動態

*突然変異した新型インフルエンザ

について説明します


<ヒト以外の動物における感染動態>

鳥類に感染している鳥インフルエンザウイルス
ほとんどが低病原性です

@水鳥

カモなどの水鳥は
体内に全てのインフルエンザウイルス亜型を持っていて
ウイルスは腸管で増殖していますが

病原性はなく 
ウイルスと共存している自然宿主で
インフルエンザウイルスの安定した貯蔵庫と言えます

またアヒルにも
インフルエンザウイルスが存在しますが 
病原性は低く
ウイルスの中継場所になります


こうしてインフルエンザウイルスは
貯蔵庫であるカモから
中継場所のアヒルに感染します

インフルエンザウイルスのカモからアヒルへの感染を示す図


@ニワトリ

ついで 
アヒルからトリに感染が広がりますが
この段階でウイルスの病原性が変化してきます

インフルエンザウイルスは
ニワトリでは強い病原性を示すのです

病原性を示すので
ニワトリではウイルスに対する抗体が産生され
ウイルスに圧力がかかり突然変異が起こり
さらに毒性を増していきます

また 現代社会では
多くのニワトリが
狭いスペースで飼育されているので
頻繁に感染が繰り返され
突然変異がより起こりやすいのです

いわば ニワトリは
インフルエンザウイルスの
変異ウイルスの開発工場になり

ニワトリから
高病原性のウイルスが
生まれてくる可能性があります

インフルエンザウイルスがニワトリで変異することを示す図


ニワトリのインフルエンザウイルスの一部は
ヒトに直接感染します


@ブタ

ブタには
トリ ヒト両方のインフルエンザウイルスが
感染します

ブタの体内では
両方のウイルスの遺伝子のパーツが混ざり合い
遺伝子再集合が起こり
もとのウイルスとは全く異なる
病原性の強い新たなウイルスが出来上がります

これをハイブリッドウイルスと呼びます

ブタでハイブリッドウイルスが作られることを示す図

ハイブリッドウイルスがヒトに感染すると
新型インフルエンザウイルスとして
パンデミックを起こすリスクがあります

このようにブタは
ハイブリッド型変異ウイルスの
開発工場になるのです


<ヒトのインフルエンザウイルス>

インフルエンザウイルスには
ヒトに感染して病原性を示すヒト型があります

ヒトで病原性を示すインフルエンザウイルスについて説明する図

病原性を示すので
ヒトの体内では抗体ができ
その圧力により 
常に突然変異が起こりやすくなります


@季節性インフルエンザ

ヒト型インフルエンザウイルスは
毎年冬に流行して風邪症状を起こさせます

そうしたウイルスはほとんどが
H3N2型 *H1N1型 です

季節性インフルエンザウイルスについて説明する図

H1N1型は
スペイン風邪を起こしたウイルスの子孫ですが
長年の経過で生じた変異により
ウイルスの致死性が低下しているので 
以前のように
多数の死者をだすことは起こりません


<H5N1型・新型インフルエンザウイルス>

季節性のH3N2型 H1N1型以外の
変異を起こしたウイルスは
新型インフルエンザを引き起こします

ヒトは新型インフルエンザに
免疫を有していないので
パンデミックを起こす可能性があります


実際に1997年に
「新型インフルエンザ」が流行しました

病因となった突然変異したウイルスは
高病原性鳥インフルエンザウイルスと呼ばれ
ニワトリにも強い病原性を示しました

H5N1型
感染は香港から始まり世界に広がりました

H5N1型について説明する図


季節性インフルエンザと異なり
上気道 消化管のみならず 
全身の臓器で感染 増殖しました

ウイルスは細胞に感染するときに
ヘマグルチニンを使いますが
H5N1型のH5は
全身の細胞に存在するタンパク質分解酵素により
開裂するため 
ウイルスは肺だけでなく全身で増殖したのです

そのため症状は重篤で
致死率が60%と高いものでした

高病原性インフルエンザウイルスについて説明する図

死亡者の90%は40歳以下の若年層
特に10~19歳の死亡率が
最も高かったのが特徴的です

若者の強い免疫反応により 
サイトカインストームが起こり
激しい免疫反応 炎症反応が全身に起きて
死の原因となったのではないかと
推測されています

サイトカインストームについて説明する図

サイトカインストームは
新型コロナウイルスが
若者の一部で重症化する際
生じているのではないかと推測されています


<新型インフルエンザウイルスが生じるリスク>

H5N1型は
ニワトリの高病原性ウイルスの
ヒトへの直接感染でしたが

他にもヒトに感染して
パンデミックを起こさせる
新型インフルエンザウイルスが
生じる機序が想定されています

*ヒトに感染したトリインフルエンザが
 ヒトの体内で突然変異する

*トリインフルエンザとヒトインフルエンザが
 ヒトに同時感染して
 体内で新たなハイブリッドウイルスが生じる

*ブタに同時感染した
 トリ ヒト ブタのインフルエンザウイルスが
 ブタ体内で新たなハイブリッドウイルスを作り
 それがヒトに感染する

新型インフルエンザウイルスが生じる機序について説明する図

新型コロナウイルスの治療薬として
注目されているアビガンは
新型インフルエンザウイルス対策用に
製造・備蓄されているものです

厄介な新型インフルエンザウイルスが
新たに生じないことを祈りたいです


高橋医院