怖いのはウイルスより情報?
山本先生は 新型コロナウイルスのパンデミックについて 語られます <新型コロナウイルスの流行を終わらせるためには> 歴史的には 人口急増と交通網発展が 感染症拡大をもたらす最大の要因で グローバル化が進む現代は 感染力の強い病原体にとって格好の土壌を提供する 今回の新型コロナウイルスのパンデミックも そのようにして起こった 今回のアウトブレイクが100年前に起きていれば 今年は重症の風邪が多いなという程度で パンデミックは起こらず 新型ウイルスの存在さえ気づかずに 終わっていたかもしれない 新型コロナウイルスが 時間をかけて世界中に広がっていく中で 次第に弱毒化が進み 長期的には風邪のような ありふれた病気のひとつとなっていく 可能性がある 一方で 1918~20年に流行したスペインかぜのように 逆に強毒化する可能性も否定できない 新型コロナウイルス感染が 広がりつつある現時点では 徹底した感染防止策をとることで 病気の広がる速度を遅くできる そうすれば 患者の急増を防げ 医療にかかる負荷を軽減し より多くの患者を救えるようになる また 感染機会が減る状況では 宿主を大切にする弱毒病原体が 生き残るようになるので ウイルスの弱毒化も期待できる さらに 集団内で一定以上の割合の人が 感染して免疫を獲得すれば 集団免疫が成立して流行は終わる 最終的にはその状態が目標になり 新型コロナウイルスと 「共生 共存」することになる 集団免疫を成立させて 新型コロナウイルスと「共生 共存」するのが 最終的な落としどころ という考え方は 書き手もまさにそうだろうと思います ワクチンや抗ウイルス薬も 集団免疫を成立させるための 有力な手段と言えるでしょう ただ 別のところでも書きましたが 行動の自粛により感染スピードを遅らせると 集団免疫の成立は遅れます そんなに長い時間の我慢に 人も経済も政治も耐えきれるか 自然科学的視点からは 解決に時間がかかるのは仕方ないと思いますが 社会学的 経済学的視点からは 大丈夫だろうかと心配になります むしろ そちらの方が 大きな問題になるのではないでしょうか? <ポストパンデミックの世界は?> 14世紀に起きたヨーロッパのペスト流行は 封建社会から近代市民社会への移行をもたらした ペストにより多くの人が亡くなり 働き手が急減したことで賃金が上昇し 農奴制の崩壊が加速し 身分を超えた人材の登用も行われるようになった ペストに無力だった教会の権威は失われ 代わって国家の立場が強くなった こうした変化は ペストの流行がなくてもいずれ実現しただろうが その時期が大幅に早まった 新型コロナウイルスも同様に 社会構造に影響を与え歴史の流れを 加速するかもしれない 従来の感染症は 多くの犠牲者を出すことで 望むと望まざるとに関わらず社会に変化を促したが 新型コロナウイルスのパンデミックでは 感染による被害それ自体よりも 「感染が広がっている」という情報の方が 政治経済や日常生活に大きな影響を与えている これがまさに パンデミックの現代的変化かもしれない ポストパンデミックの社会が どのように変貌するかは とても興味がある点で 今後もそうした話題について 紹介していこうと思いますが 今回のパンデミックでは ウイルスより情報の方が厄介だ という指摘は とても的を得ていると思いました 膨大な量の玉石混交の情報があふれている ネット社会ならではの問題ですね 前回紹介した座談会でも これから紹介する記事やインタビューでも 情報に関するリテラシーは 大きなテーマになっています 読み手の皆さんのリテラシーで ふるい落とされないように 書き手もしっかりした内容のブログを書かないと!(笑)
高橋医院