経済における複雑性の重要性
ここで「経済の複雑性」という 耳慣れない話題が展開されます <複雑性の回復力> スティグリッツさんは パンデミックは 回復力 弾力性の重要性を示している と指摘します 新自由主義が大嫌いな彼らしく 新自由主義は近視眼的で 短期の利益を最大化するために 弾力性 回復力を犠牲にしてきた 短期主義は 効率性を重視するあまり 余裕のない状況に陥ってしまった 安価を追求するあまりに 複雑で相互依存的なサプライチェーンを作り出したが このシステムは 世界のどこか特定の場所で問題が起きると システムの全てが崩壊してしまう 今のサプライチェーンには 複雑性が足りない と言い放ちます ここで 経済の複雑性の重要性 が指摘されます 輸出データの分析から産業構造を視覚化し どのような種類の業種により 経済が構成されているか明らかにすることで 経済の複雑性が評価されます 国の産業構造の分布を 視覚化したものでもあります 日本は 多業種により経済が構成されていて しかも構成する各業種の産業工程が複雑なので 経済の複雑性の評価では 1995年以来 ずっと世界のトップを保っているそうです 明治大学の飯田さんは 経済システムは効率化すればするほど ワンショックに弱くなるので 資本主義は“混ぜ物”がある程度あった方がうまく進む 複雑性が資本主義を支えている と指摘します ファーガソンさんも 経済の複雑性は 多様性と付加価値があることを意味するので良いことだが グローバルな貿易を行い 経済の複雑性が多い日本は パンデミックでは 逆に不利になるかもしれないと危惧します そして ポストパンデミックの世界で ローカル指向に戻るのは仕方ないが グローバルでもローカルでもない 新たなネットワークが構築できないか? と 未来に目を向けます メーリングさんは ポストパンデミックでは 脱グローバリゼーションが起こり 国際分業のメリットは失われ 世界経済に最近加わり グローバリゼーションの最大の恩恵を受けてきた 末端周辺国が 最も大きな被害を受けると指摘します 今回のショックで明らかになったことは サプライチェーンが破綻して たったひとつのパーツがなくなると 全ての製造工程がストップしてしまうこと こうしたショックに対応できるように ひとつのパーツに頼らないでもすむように 工業生産を再構築するようになる 一方で 命にかかわる産業が国内回帰するだろう 多くの産業が国内回帰するだろうが 国内で確保しておくべき産業は何かという議論が されるようになり 囲い込みへ移行するようになる 命にかかわる産業の重要性は アタリも指摘していました また 日本は経済構造の複雑性が変化しておらず それは生産性が高い分野に特化しきれていないという 欠点だったが 今の状況では 逆に強みになる可能性があり この経済構造の複雑性により ポストパンデミックでは日本は台頭するかもしれない と述べます スティグリッツさんも 日本は 回復力・弾力性と効率性の 正しいバランスをとることができ 高い工業技術の能力を駆使して サプライチェーンを 効率的で回復力の両方を同時に持つように 再構築することができるだろう こうした種類の技術的ノウハウ 深い思案により パンデミック後に台頭する新たに構築された経済の中で 日本がきわめて重要な形で台頭してくるだろうと 日本の未来に大きな期待を寄せてくれます 「経済の複雑性」という概念を初めて知りましたが なかなか面白いですね 日本の経済は他国と比べて とても複雑な工程を持つ さまざまな業種により 構成されていて それが長年変化していないというのが面白かった こういうのは 国民性も影響するのでしょうね
高橋医院