今週のネコブログは 急遽ネタを変更!

というのも今週半ばの13日に
超有名な医学雑誌・NEJMのオンライン版に
ネコの新型コロナウイルスに関する論文が
出たのです

東大医科研でウイルスの研究をされている
最近テレビで時々拝見する
河岡先生らが行われた研究です

河岡先生らのNEJMの論文

新型コロナウイルスが
ネコに感染するという研究は
既にご紹介しましたが

新型コロナウイルスがネコにうつるという論文


今回の河岡先生たちの研究は 
かなり面白い!

まず 
新型コロナウイルスに感染した患者さんから
ウイルスを分離して
それを3匹のネコさんの鼻腔に
くっつけちゃうのですよ!

ええっ!

そして 毎日 ネコさんの
鼻とお尻から検体を採取して
そこに含まれるウイルス量を測定して
時間経過とともにどう変化するか調べます

すると 鼻から採取した検体では
3匹ともしっかりウイルスが増えていて
5~6日間持続して消えます

ネコの検体のウイルス量の経時的変化を示すグラフ

ちなみに お尻からの検体からは
ウイルスは検出されません


そして なんと 次の実験では
ウイルスを感染させたネコさんのゲージに
別のネコさんを入れちゃうのですよ!

で 同居させられたネコさんも
毎日 鼻とお尻から検体を採取されて
ウイルス量を調べます

新型コロナウイルスが
ネコネコ間で感染するか
明らかにしようという目論見です

ネコからネコへの感染を示すイラスト

すると 3組とも
同居開始後4~6日目には
同居ネコの鼻からウイルスが検出され
4~5日間持続して 消えていきます

同居ネコの検体のウイルス量の経時的変化を示すグラフ

同居ネコもお尻の検体からは
ウイルスは検出されませんでした


ちなみに 
ウイルスに感染したどのネコさんも
鼻水は出ず 咳もせず 熱も出ず
体重も変わりませんでした

ネコさんたち
症状が出なくて良かったですね!

そして24日後には
全てのネコさんの血液中には
ウイルスに対するIgG抗体が
検出されたそうです!

ちゃんと免疫もできて めでたし めでたし!


ということで この実験から
新型コロナウイルスは
ネコの呼吸器でよく増えて 
ネコネコ間で接触感染することが示されました

マスクをしたネコたちのイラスト

また
ネコはヒトの新型コロナウイルスに感染することが
明らかになったので

不幸にして
新型コロナウイルスに感染してしまったら
飼い主はネコさんにうつさないように
マスクをして 抱っこやハグはしてはいけない

マスクをしてネコを抱っこする飼い主

また ネコからネコに感染することから
この時期 ネコさんは
ヒトさま以上に stay home!(笑)

stay homeするネコ

ということが結論付けられました

なるほど~!

この研究は
もうテレビで紹介されていました!

研究を紹介するテレビ画面


さて 書き手は
ネコネコ間の感染様式に興味があります

論文の筆者らは
接触感染によるものとされていますが

たとえば 仲良しで2匹でネコ団子したペアは
それほど仲良くなく互いの距離があったペアに比べて
より早期からウイルスが検出されるとか
そうした現象があったりするのかな?

お互いグルーミングしあうような
濃厚接待(?)があると より感染しやすい?


つまらない冗談はさておき(苦笑)

考察では 
ネコからヒトへの感染の可能性
について言及されています

ハイ そこがいちばん気になる点ですね!

新型コロナウイルスがペットからヒトにうつるか?と書かれた質問票

筆者らは
ヒトーネコーヒトの感染連鎖の可能性もあり

特にネコは感染しても無症状だったことから
ネコがsilent intermediate hostになり
知らぬ間にヒトに感染させるかもしれないので
今後の検討で
その点を明らかにすべきと考察されています

ネコからヒトへの感染の可能性を示すイラスト


無症候性キャリアーネコ?

やはり次の実験では
感染したネコと暮らすヒトをボランティアで募集して
ヒトへの感染の有無を検討しないといけませんね

うーん そんなボランティアの募集があったら
ネコ好きの皆さんは
応募しようかどうか迷いますか?

う~ん(笑)

さて この論文のことは
ニューヨークタイムスも報じていました

論文のことを報じるニューヨークタイムス

ちなみに河岡先生も ネコを飼われていて
ネコちゃんは いつも先生の枕元で寝ているそうで
「この実験結果が出て その習慣は変わりましたか?」
と記者さんに聞かれ
「いいや 彼は昨日の夜も枕元で寝ていました」
と答えられていました

さすがニューヨークタイムスの記者さん
オチは外しません!(笑)

今回の研究で
被験ネコになられたネコさんたち
お疲れさまでした!
高橋医院