新型コロナ・スーパースプレッダーと3密の関係
新型コロナウイルスは 色々なことを勉強させてくれますが そのなかでも気になることが スーパースプレッダーの存在です <スーパースプレッダーとは?> スーパースプレッダーは ウイルスの感染力 拡散性に関わる 重要なコンセプトです 普通は ウイルスに感染した患者さんは 2~3人の人にウイルスを感染させる可能性があると 推定されます しかし 感染者のなかには もっとはるかに多くの人にウイルスを拡散する人がいて そうした人は スーパースプレッダーと呼ばれます 書き手は 今回の新型コロナウイルスのパンデミックで スーパースプレッダーのことを初めて知りましたが これまでに起きたさまざまなパンデミックにおいて ひとりのスーパースプレッダーが 何十人もの人にウイルスを感染させ 拡散させたことが 明らかにされています <80対20の法則> SARSやMARSでは ひとりの感染者が 80人以上に感染させたこともあるようです 実際に 新型コロナウイルスでも 「80対20の法則」というのが 研究者の間でコンセンサスとして承認されつつあるそうです この法則によれば 新規感染の80%は ウイルスの保有者(キャリア)の 20%以下の人からの感染によって発生している つまり 大多数のキャリアは ごくわずかな人しか感染させないか まったく感染させませんが 一部のキャリアは ウイルスを次々に拡散させてしまう まさにこうした人が スーパースプレッダーです <スーパースプレッダーはどんな人?> 書き手は はじめてこのコンセプトを知ったとき とても面白い現象だと思い いったいどういう人が スーパースプレッダーになるのだろう? という疑問を持ちました たくさんの量のウイルスを保持している人かな? だとしたら 免疫力が低下していて 体内でウイルスが増殖しやすい人なのかな? なんらかの呼吸器系の持病があって 咳をしやすい人かな? などなど 色々と思いを巡らせましたが どのような人がスーパースプレッダーになるかは はっきりとしたことがわかっていないようです それは残念! スーパースプレッダーを特定できるようになれば そうした人を早目に隔離すれば ウイルスの拡散が防げるのにと思いました <生物学的因子と環境因子> ここで 目に留まったのが 再生産数 です 再生産数とは ひとりの感染者が 何人にウイルスを感染させるかの力ですが 基本的には ウイルスの性状により規定され これが“基本”再生産数です しかし 実際に社会でウイルスが蔓延し始めると 「3密」などの社会的因子も含めたさまざまな因子により 再生産数が変化してきて これが“実行”再生産数になります つまり 再生産数は 単純にウイルスの生物学的な性質に規定されるのではなく 環境因子により修飾されるのです そして 同じようなことが スーパースプレッダーに関しても言えて ウイルスを保有している個人の 生物学的な性質だけでなく 環境因子もスーパースプレッダーの形成に関与している 要するに 同じ人でも 環境によってはスーパースプレッダーになり得る 3密が重要視され始めたのは そうした環境だと スーパースプレッダーが生まれやすいからなのです こうした解釈を聞いて 書き手は なるほどねと 膝を打ちましたよ! スーパースプレッダーという概念は 奥が深い そして ウイルス感染というのは まさに社会と密接に関与している現象なのだということを 改めて思い知ることができました さらに 3密などの環境因子に関する理解も よりリアルに深まったように思いました それにしても スーパースプレッダーの生物学的な性質とは 何なのでしょう?
高橋医院