西浦先生はインタビュー山中先生との対談でも話題になっていた
理論疫学と政治・経済との関わりについて
言及されます

語る西浦先生

<政治家の責任>

死亡者数の被害想定のような
社会に大きな影響力を与える話は
やはり 諸外国のように
政府機関の代表者
(首相 厚労相 少なくとも科学顧問の役割を担う方)に
発表していただく必要がある

首相が原稿を読まずに時間をかけて
「被害想定の何万人という数字があるけれども
 みんな頑張るぞ」と
心からみんなに語りかけるべきものだと思います

演説する政治家

その機会すらない状況をみると
政治家が人任せにしているのではないかと思うのです

専門家任せにしない形で
発表の仕方やシステムを見直していくべきだと考えています

日本政府に科学顧問がいて
そこにプロのコミュニケーターが参集していれば
こういう点について
齟齬のない伝達ができたかもしれません


うわっ!
胸がすくようなストレートなご意見です!
拍手喝采!

安倍さん
いつも格好つけてプロンプターばかり見ていないで
自分の言葉で語って頑張ってよ!!(苦笑)


<経済的補償の問題>

西浦先生の語りは続きます

感染のリスクが高い場所を抑えるだけで
感染を制御できるのなら
それに越したことはありません

ただ 流行している間
夜の繁華街などハイリスクな業種の人々が
わずかな補償で割をくうのは
社会の成り立ちとして無理があると考えています

夜の街対策を説明する政治家

そのことを 政治家も正直に言及できないし
してくれる人さえいない

このような状態のままでは
ひとつひとつの業種がきめ細かにリスク対応したり
新しい生活様式で
ウイルスとうまく付き合ったりすること自体が
瓦解する可能性もあり
そのことを大変危惧しています

この流行では
世の中で厳しく留め置かれる人たちへの配慮が
必須だと考えています

役所のコロナ関連の生活相談の窓口


うーん 理論疫学者は
そこまで配慮しないといけないのですね


<経済と科学の二項対立>

西浦先生は
withコロナ時代の最大の問題点に言及されます

コロナに関する経済と科学の関係を示した図


この感染症の一番難しいところは
経済と科学の二項対立が生じてしまうことです

二項対立を象徴化した図


何をすればいいのか機動的に考え
政治が立ち位置を明確にすべきだと考えています

経済は政治に近いため
政治家はそちら側に振れかねません

科学的であっても
「見たくないリスクは見ない」ということになると
物事が不健康に進んでしまうと思うのです

そして 十分にリスクと向き合えていなかったら
ある日 気がついたら
感染者数が手に負えない状態になっている
というのが感染症の難しいところです

ほどよくリスクと付き合わないといけませんが
そんなに簡単なことではありません

ハイリスクな場所 社会全体
そしてそれを差配する人たちといった観点で
ウイルスとの向き合い方を
今のうちに考えておく必要があると思っています

社会のウイルスとの向き合い方を示す図

分析についての意見ですが
経済関係の人から
社会の不条理に関して批判があるというのは
社会を回していく上で正常なことなのだと思います

ただ その批判の中には
我々が使っている理論の中身そのものやデータそのものを
一方的に解釈してしまっているものもある

理論の中身やデータ解釈は
理路整然と一意に決まっているものです

経済的 政治的な意味合いでしなければいけない話と
科学的な中身の区別が必要です

科学的な発展のためには
一度中身を整理して 根気強く語っていけば
分かってもらえるものだと思っています

政治家と科学者


書き手も withコロナの時代は
少なくとも2~3年は続くと考えます

そして withコロナの時代のいちばんの問題点は
まさに「経済と科学の二項対立」に
どう折り合いをつけるかという点だと思います

日本だけでなく世界中のリーダーたちが
この先しばらくの間
この問題の解決に悩み苦しむことでしょう

withコロナの時代は
科学の時代でもあるけれど
実は政治の時代なのかもしれません

withコロナの時代を示すポスター

日本は 大丈夫なのかな?
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