8/9に日本内科学会講演会
新型コロナウイルス感染症に関するシンポジウムが
行われました

今年は新型コロナの影響で
多くの学会が
オンラインで講演を視聴するスタイルになっていて
学会場に行かなくても良いので便利ですが
質疑応答の緊張感を楽しめないのが残念です


日本循環器学会の山中先生と西浦先生の対談
You-tubeで公開されましたが
こちらのシンポジウムは学会参加者限定公開なので
その様子を紹介しようと思います


最初に国立感染研の脇田先生
現状と今後の課題について講演されました

脇田先生の講演のタイトル


<新型コロナウイルス感染症の現状と今後の課題>

コロナウイルスは
もともと動物界に広く分布していて
人獣共通感染症としてヒトに感染するもので

ヒトコロナウイルスは
風邪を起こすタイプ 229E OC43 NL63 HKU1
肺炎を起こすタイプ SARS MERS
が これまで知られていて
今回 その新たなメンバーとして
新型コロナウイルスが登場した

さまざまな種類のコロナウイルスを示した図

と前置きされてから

新型コロナウイルス感染症の臨床像について
次のようにまとめられました

@臨床経過

患者さんの80%は7~10日間で軽快するけれど
20%は
7日目以降に肺炎を起こし
ARDSを併発し重症化して死亡することもある

臨床経過を示した図


@重症化する場合の病態

*サイトカインストームによる全身性の炎症反応
*血管内皮障害による血管炎
*凝固系の亢進による微小血栓 塞栓

といった病態が起こっていて
これらにより
多臓器不全が生じて重症化してしまう

重症化したときの病態を説明する図


そして この感染症の大きな特徴である
クラスターに関する解説が始まります

@クラスターを形成することで感染拡大する

この感染症は
重症 軽症に関わらず
80%は他の人に感染させないが

20%の人が他の人に感染させ
稀に多くの人に感染させることがあり
クラスター・集団感染が発生してしまうので
そこが大きな問題点となる

クラスター形成について説明する図

@クラスターが起きやすい状況

たとえば昼カラオケの場合
*カラオケで マスクを着用せず 長時間歌う
*感染者が複数の店に行き広める
*店の従業員が感染 有症状
といったことが原因となり

対策としては
*マスクの着用
*長時間利用の回避
*症状があるときは店の出入りを控える
といったことが考えられる

クラスター対策を示した図

すっかり新たな言葉として定着した感がある
“夜の街”に関しては

*流行地域から来た客から店員に感染する
*接客時の3密(密閉・密集・密接)により
 店員から客に感染する
*有症状の店員が感染を拡大させる

といったことが原因となり

対策としては
*症状があるときはお店に行かない
*店では 3密を減らす工夫 店員の健康管理を徹底する
といったことが考えられるそうです

クラスター対策を示した図 その2

クラスターについて
情報や知識がよく整理できました


ちなみに脇田先生は
書き手の数学年先輩で
もともとC型肝炎ウイルスの研究をされていたので
何度か肝臓関連の学会や研究会でご一緒して
書き手が拙い研究発表をしたときに
とても厳しい質問をしていただき 参ったことがあります(苦笑)

発表される脇田先生

懐かしいです

高橋医院