J・ダイアモンドが語るコロナ後の世界・1
エマニュエル・トッドが出演していた NHKのBS1スペシャル コロナ危機 未来の選択 世界の知性が語る「コロナ後の未来」 この番組には 「世界が連帯する“最後のチャンス”にせよ」 というタイトルで ジャレット・ダイアモンドさんも出演していました ダイアモンドさんはアメリカの地理学者さんで もう82歳になられました 文明の盛衰を見つめてこられ 代表作である「銃・病原菌・鉄」でピューリッツア賞を獲得され 「危機と人類」など多数の著作を書かれています 書き手も「銃・病原菌・鉄」を 大きな感動をもって拝読しました そんなジャレットさんは日本でも大人気で 朝日も日経も毎日も 日本の主たるメデイアがこぞって 今回のパンデミックに関する論評を ジャレットさんに求めていました ジャレットさんは 15世紀の大航海時代に起きたインカ帝国やアステカ帝国の滅亡は ヨーロッパから持ち込まれた感染症が 大きな要因となったことを解き明かしましたが 今回のパンデミックを 世界が同時に危機を迎えた初めての経験ととらえ 地球規模の課題を協力して解決する 「最後のチャンス」だと説かれます @新型コロナは世界を金持ちと貧しい人に分断する新しいパンデミック アメリカでは 金持ちの方が貧乏な人より死ぬ可能性が低く これは世界共通の傾向だが こうした傾向は これまでのパンデミックではみられなかった そもそも新たな感染症は 病院が少なく衛生環境が悪い貧しい国で流行しやすいもので 世界の国々の間で経済的格差がある限り パンデミックのコントロール 世界の安定は望めないだろう 歴史的に見て 感染症は文明の興亡に大きな影響を与え 天然痘が16世紀にスペインから南米に伝わり インカ帝国を滅ぼしたように 大きな文明ですら滅ぼし その後の歴史の流れを決定的に変えた 感染症に対する免疫を持っていなかった民族が滅びたのだ しかし 新型コロナウイルスは 過去に誰も感染したことがない新しい病気なので これまでの感染症のように 免疫の有無で世界を分断させているのではなく 貧富の差で世界を分断させているのが特徴的だ @新型コロナの感染に影響を及ぼす文化の差異 欧米に比べアジアでの死亡率が低く 文化の違い 政府の対応による違いが大きく影響している たとえば 文化的要因の違いとしては アメリカは個人を尊重するが 日本は共同体を尊重し 対極と言える アメリカ人は 他人や政府からの干渉を嫌がるので マスクもせず ソーシャルディスタンスもとらない 極端な個人主義的な文化だ 一方 日本人は 他人の行動や政府の意向を気にしがちで 社会的圧力に気をつけて行動するので 政府の要請だけで 充分に従順な行動をとれる こうした文化の差異による影響が大きいのは興味深い @パンデミックを防ぐために伝統や文化を見直すべきか? 野生動物の市場での取り扱いを規制しないと またパンデミックが起こる SARSもMARSもそうだった 良い伝統もあれば悪い伝統もあるが 野生動物の市場は後者だ カニバリズムも悪い伝統で 死者の脳を食べる伝統が ニューギニアで神経疾患の流行を引き起こした 人の命を奪う伝統は廃止されるべきである 中国は 野生動物の市場の廃止だけでなく 漢方薬を作るための野生動物の取り引きも止めるべきで それは世界だけでなく中国自身のためでもある @人はWithコロナの時代に これまで謳歌してきた自由を手放せるか? これまでの世界で謳歌してきた 行き過ぎた欲望 消費を手放し 諦める時期なのか? 人類はこれまでの歴史で 社会の共同生活のために 多くの自由を放棄してきた 人殺しや盗みも かつては自由だった だから 新型コロナで自由を手放すのは目新しいことではない 当然できることだと思う このパンデミックが 世界の貧富の差をさらに拡大させているという意見は すでに共通認識化していますね 文化の差異が感染制御に影響を及ぼすという考え方も 共通認識になりつつあります ダイアモンドさんは どのように論を展開していくのでしょう?
高橋医院