前回に引き続き 肥満に関するお話です

糖尿病治療は当院の得意分野のひとつですが
多くの糖尿病の最大の原因は 肥満!


お医者さんは
「頑張って痩せてください!」
と簡単に言うけれど

でも 美味しいものは食べたいから
ダイエットは難しいし
いっとき成功してもすぐリバウンドしてしまう

それに最近寒いからついつい外に出なくて
このところ運動療法もとどこおりがちで

うーん 体重を減らすのは難しい、、、

これが体重管理に悩む多くの患者さんの
いつわらざる気持ちだと思います

肥満の人のイラスト

 

だったら あれこれ悩んでいないで
手術して胃を縮めて
太らないようにすればいいじゃない!

というのが 海の向こうではトレンドのようで
ホント 
こういうシンプルかつストレートな(?)発想は
いかにもアメリカ人らしいと
感心(苦笑)してしまいますが

冗談抜きで 
欧米では今や肥満の治療は
内科ではなく外科でする時代になりつつあるとか

アメリカでは 肥満を改善させるための手術
実に年間20万件以上!行われているそうで
(ちなみに日本での胃癌手術の例数はその1/10以下)

手術の適応になるのは

*肥満の評価に用いられるBMI値が40以上の
 重度肥満の患者さん

*40未満35以上でも
 糖尿病や高血圧などの
 肥満関連疾患がある患者さん

です

手術そのものは比較的簡単で
お腹を開腹せず 
数か所穴をあけるだけの腹腔鏡手術で

*胃体部にバンドをかけて食物を通りにくくし
 すぐに満腹感を感じるようにする方法

*胃の一部と小腸のバイパスにより 
 胃の内容量を小さくして
 少ししか食べられないようにする方法

*胃の外側2/3を切り取って
 実際に胃そのものを小さくしてしまう方法

があります

腹腔鏡手術の画像

こうした手術により
体重は最初は急激に その後はゆっくりと減少し
数年間減り続けることもあるようで

いちばん重要な効果は
減量により糖尿病や高血圧などが改善すること

アメリカの150人の肥満した糖尿病患者さんを
対象にした臨床研究では

内科治療したグループに比べ
手術をした患者さんのグループでは
統計学的有意差をもって血糖値が改善それが3年間持続し
血圧 悪玉コレステロール 動脈硬化の程度が
いずれも改善したそうです
(NEJM 2014;370:2002)


日本ではどうなっているかというと
この胃を小さくする手術が
2014年4月から健康保険適応になっています
(つまり自費でなく保険で治療が受けられます)

*BMIが35以上で 
*糖尿病 高血圧 脂質異常症を
 ひとつ以上患っておられる患者さん
が対象です(20歳から65歳まで)


なるほど~ そういう時代になってきたのか、、、

書き手はちょっと衝撃を受けました

で 実際 日本ではどうなのよ? 
と糖尿病専門医さんに尋ねたところ
「うーん、、、」と申されていました

減量と同じで そんなに一筋縄にはいかないのよ 

ということのようです

この手術による減量法が
欧米のように日本でも広く普及するかどうかは
まだ未知数とか

国民性や考え方の違いが 
バックにあるのでしょうか?

もし皆さんが「手術適応ですよ」と言われたら
どうされますか?

 

高橋医院