中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報 


お腹がいっぱいになってきたけれど 
もっと食べたい!

食べ始めたらストップが効かずに
際限なく食べてしまう!

そんな経験をされた方は少なくないことでしょう

どうしてそんなことになってしまうのか?

たくさんのファストフードをバク食いする太った女性

前回 食欲を制御するメカニズム
について説明しましたが

これは「ホメオスタシス系調節」とよばれる
“生きるために必要な食欲”
を制御する仕組みです

しかし厄介なことに ヒトには
「報酬系」「快楽性」と呼ばれる 
別の食欲を制御する仕組みがあります

報酬?快楽? 

なんだか食欲との連想が難しいですね

これは
生きるために必要とされる食欲ではありません

体内に栄養素が足りないから食べて下さいという
生理的要求により促されるものではない

生理的欲求ではないのに 
必要ではないのに 
なぜ食べてしまうのか?

食欲を満たすと 
ヒトは脳内で気持ち良さを感じるからです

ハンバーガーを食べている人の脳内で活発に伝達されている電気信号

体は栄養素が足りているのに 
気持ち良いからという理由でさらに食べれば 
当然の帰結でデブになりますね

快楽性食欲は 
まさにヒトをデブにさせる食欲なのです!


食欲に限らず 
さまざまな快楽は
脳内のドーパミンネットワークにより生じます

脳内のドーパミンネットワーク

普通の食欲の場合 
食べると脳内にドーパミンが放出され
一定量が放出されると 
気持ち良くなって満足するので 
それ以上は食べない

しかし
食べても満足できない状態になると
際限なく食べてしまう

この現象が「依存」です

食欲だけでなく
薬物やアルコールや様々なことに対して
「依存」は生じます

依存とドーパミンの関連

肥満なヒトは
放出されるドーパミンの量が少なかったり
ドーパミン受容体が減少して反応が弱かったりで
気持ち良さが足りずに満足できないので
さらに食べてしまう

機能的MRIで示された肥満の人の脳内で不足しているドーパミン

これは機能的MRI(脳の活動してい部分が色付いて見える)の画像ですが
赤い部分には
ドーパミンがたくさん存在していて 幸せを感じている

この部分が少ないと
ドーパミンが少なく 幸せを感じていない

左の健康な人は
食べ物を食べると赤い部分が多く満足するのに

右の肥満な人は
食べても赤くならず満足できていない

これは
真ん中のコカイン中毒の人がコカインを吸った時と
同じ状況です!

つまり食物依存 食物中毒の状態なのです

さらに厄介なことに

脂っこくてカロリーが高いものを食べ過ぎると 
ドーパミン放出が減ってしまい 
なかなか満足が得られなくなって 
さらに食べ過ぎてしまう

ジャンクフードは食物依存を誘導します!

ジャンクフードが脳内にドーパミンを誘導して依存を形成する機序

お酒を飲んで
ジャンクなつまみをたくさん食べていると

最初は気持ち良いけれど 
次第に満足感が減ってきて 
ついついラーメンまで食べてしまう

これは 食物依存症の食パターンなのです


一方 前回ご紹介した食欲を減らすレプチンは
ドーパミン系を抑制しますが

肥満なヒトは
レプチン抵抗性になっているので抑制できず
快楽性食欲の亢進状態が持続して
さらにどんどん食べてしまう

肥満を導く食べ物は 
ヒトに快楽性食欲への依存状態を誘導して 
ますます食べさせてしまう

肥満なヒトは 
食べることによる快楽をなかなか得ることができない
食欲依存状態となり
さらに食べてしまう

肥満にとって
快楽性食欲は御しがたい危険な存在です


だったら
この快楽性食欲をコントロールできれば
肥満もコントロールできるのでは?

確かに快楽系を制御できれば
食欲だけでなく薬物などの
さまざまな依存現象を解決することができますが

それがなかなか難しくて 
今のところ良い手だては見つかっていません

まだしばらくは
自分の意志で
快楽を求める食欲と
必死になって戦っていくしかないのです

ファストフードを拒否しようとしている人

快楽を求める食欲との戦い 
皆さん 頑張りましょう!!


食習慣は変えられないとうそぶく人

えっ

私はダイエットのためなら何でもできるわよ

食習慣を変える以外はね ですって?

そんなこと言ってないで!(苦笑)





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