クリスマスに不可欠なものといえば

三ツ星レストランでのディナーに 
ジュエリーのプレゼント

なんて 恐ろしいことを言われる女性も
世の中には 
まだおられるのかもしれませんが(笑)

我が家のヒトの女性が 
クリスマスに欠かせないと言われるのは

先日ご紹介した 
バレエのくるみ割り人形 ヘンデルのメサイア
(ジュエリーじゃなくて良かったー:苦笑)

今年のクリスマスは 
このふたつを久し振りに両方とも楽しめたので
彼女はとてもご満足です

「バッハ・コレギウム・ジャパン」という 
鈴木雅明さんが主宰されている
バッハなどのバロック時代の宗教音楽を中心に
演奏するグループが

毎年クリスマスに 
ヘンデルのメサイアを公演されています

メサイアのポスター

クリスマスにサントリーホールで
メサイアを聴くようになってから
もう15年くらいでしょうか

別にふたりともクリスチャンではありませんが
我が家では 
すっかりクリスマスの定番行事になっています

普段はおちゃらけてばかりの書き手も 
年に一度の聖なる季節くらいは
おごそかな気分に浸りなさいという 
家庭内指導でしょうか?(苦笑)

ヘンデルが作曲したこのメサイアは

ヘンデルの肖像画

イエス・キリストの
降誕 受難 復活といった生涯を題材とした
主に預言書から歌詞をとった
独唱曲や合唱曲で構成されていて

公演では 数名の海外からの招待ソリストと
コレギウム・ジャパンの
男女コーラスグループの合唱と
雅明さんの息子さんの優人さんが奏でる
チェンバロを中心とした管弦楽が
約2時間半にわたって 
キリストの生涯を 奏で 歌いあげます

バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏風景

クラシック音楽の勉強が足りない書き手が
初めてこのコンサートに
連れていってもらったとき
ちょっとびっくりしたことがありました

というのも
「ハーレルヤ ハーレルヤ」という
有名なハレルヤ・コーラスの場面で

聴衆の何人かが 
座席から起立して姿勢を正して
聴かれていたのです

最初にその光景を見た時は 
何なの?と驚きましたが

1743年にヘンデルが
初めてロンドンでメサイアをお披露目した際に
国王ジョージ2世が 
ハレルヤの途中で起立したというエピソードがあり

またイギリスでは
神の栄光を讃える場面には
起立して直立不動で臨むという習慣があるそうで

そうした経緯もあって
日本でも敬虔なクリスチャンの方は
立ちあがられるそうです

なるほど~

それから 毎年必ず何組かいるのですが
若いカップルが 途中からいなくなります

多分 
もっと華やかなクリスマスコンサートを
予想して来られて
生まれて初めて遭遇したであろう宗教曲に面食らって
途中で退席したと推測されます(笑)

書き手も最初の頃は 
馴染みのないキリストの生涯がわからず
歌詞の対訳が書かれたパンフレットを
必死に目で追っていたので

途中でいなくなったカップルの気持ちは
解らないでもありません(苦笑)

コンサート会場の様子

でも 毎年行っていると段々慣れてきて
最近はずいぶんと
楽しめるようになりました

ハレルヤ・コーラスや 
最後のアーメン・コーラスで

バスから始まりリフレインを繰り返しながら
順に高音域が加わって
最後にソプラノが加わって
全員の合唱が響き渡るところでは

ふとどき者の書き手をもってしても 
不覚にも涙腺が刺激され
声楽曲の美しさ 力強さを 
まざまざと実感させられます

敬虔な信者さんは これを聴きながら
天上の神をイメージして
恍惚としておられるのでしょうか?

柄にもなく ふとそんなことを思います

宗教は文化だと割り切っている書き手にも
そんなふうに感じさせるのですから
宗教曲 特に声楽曲の影響力は 
かなり大きいものです

このコンサートでは
最後のアンコールには 
コーラスだけの曲が披露されますが

今年のアンコール曲は 
ベタに きよしこの夜 でした

ここ数年 ソプラノのソリストとして歌われていて
今年はコーラスメンバーのひとりとして
役目を果されていた松井さんが
最後にさすがの美声を披露されたので
より感動的に引き締まって終わった印象がありました


ところで プログラムに掲載されていた
メンバーがメサイアの魅力を語る座談会が
面白かった

トランペットの斎藤さんが
ヘンデルの時代は トランペットは神や権威の象徴で
奏者の地位は高く 年俸も他の楽器の4倍もあった
と語られて

それを受けて 
コンサートマスターのヴァイオリンの若松さんが

ヴァイオリンは身分が低かったので(?:笑)
最初から最後まで弾きっぱなしで酷使されているのに
同じ弦でも ヴィオラは意外に暇 
などとまぜっかえされていて

そうなんだ~ と驚きました

トランペットを吹く天使

先ほどの松井さんは
同じオラトリオでも 
バッハとヘンデルでは全然違って
使う声は変わらないのに 
チャンネルは異なる感じがする
と語られていて

斎藤さんも
ヘンデルはバッハより
耐久力を要求されるためにきつい
と語っていました

そういう内部事情(?)は
素人にはわからないから
とても興味深かったです

イギリスと大陸は 
哲学をはじめとした文化の差異が見られますが
音楽の世界でも 
さまざまな違いがあるのですね

勉強になるし 面白い

楽しいひとときを過ごして外に出ると
サントリーホールの前は 
美しいイルミネーションが輝いていました

サントリーホールの前のイルミネーション

そろそろ 
クリスマスイルミネーションも
おしまいですね


高橋医院