脂質異常症の原因と診断
どうして脂質異常症に なってしまうのでしょう? <脂質異常症になる生活習慣> いちばんの原因は 生活習慣の乱れです *高カロリーな食事 *アルコールのとり過ぎ 喫煙 *不規則な食生活 *運動不足 などにより 脂質異常症になります こういった生活習慣の乱れが原因で脂質異常症になる方は 年々増加傾向にあり しかも働き盛りの30歳代以降の男性に 多くみられるので要注意です @高LDL-C血症の原因 *動物性脂肪の多い食品 (肉類、乳製品など) *コレステロールを多くふくむ食品 (鶏卵 魚卵 レバーなど) の食べすぎによる 慢性的なカロリー過多です 脂は量より質とお話ししましたが それでも やはり過度な摂取は禁物です @低HDL-C血症の原因 運動不足 肥満 喫煙 などです 特に喫煙は それ自体が動脈硬化の危険因子ですから要注意ですが 禁煙すると太られてしまう場合が多い この点が 頭の痛いところです また 定期的に運動すると HDL-C値を増加させることができます よく患者さんに LDL-C値やTG値を下げる薬があるのだから HDL-C値を増加させる薬もあるでしょう? と質問されますが 残念ながら そうした薬はありません 煙草を止めて 地道に運動するしかないのです しかも運動は *1回20分以上 *週に3~4回を数か月続けて はじめてHDL-C値の増加がみられます 低HDL-C血症は 意外に難敵なのですよ @高TG血症の原因 *食べすぎ 飲みすぎ *高カロリー食品 (甘いものや脂肪分の多い肉類など)のとりすぎによる 慢性的なカロリー過多がいちばん多い とくにアルコールの飲みすぎは 中性脂肪を増やしやすいので要注意で 中高年のおじさんに 高TG血症が多いのもうなずけます 中性脂肪は肉や脂だけでなく 甘いものでも炭水化物でも なんでも食べ過ぎ飲み過ぎすると すぐに増加してしまうので とても厄介です そして中性脂肪は コレステロールに比べると軽視されがちですが 甘く見ていると大変です そんな中性脂肪の怖さについては 次回に詳しく説明します <脂質異常症の診断> 血液中の LDL-C HDL-C 中性脂肪(TG)が それぞれ下記の数値を上回ると 脂質異常症と診断されます @高LDL-C血症 *140mg/dl以上 *ただし糖尿病などがある方は 1 20~139mg/dlで境界域と診断されるます *LDL-Cを直接測定していない場合は LDL-C = TC-HDL-TG/5の計算式で求めることができますが TGが高い場合は信頼できません @低HDL-C血症 *40mg/dl未満 @高TG血症 *150mg/dl以上 脂質異常症の診断にあたっては 次の指標も参考にされます *non HDL-C値 総コレステロール値から HDL-C値を引いた値がnon HDL-C値で 通常 LDL-C値よりも少し高い値になります 上述したようにLDL-C値は TG値が高いと測定値の信頼性が低いという 問題があり この問題を解消するために LDL-C値を補助する形で non HDL-C値が新たに使われています *L/H比 最近 動脈硬化に関連する項目として L/H比 = LDL-C値÷HDL-C値 も重視されています LDL-C値が正常であっても HDL-C値が低いと心筋梗塞を起こす例が多いため 予防には両方のバランスを示すL/H比が 参考となるという趣旨です L/H比が2.5以上だと 動脈硬化や血栓のリスクが高いため 心筋梗塞 狭心症 糖尿病 高血圧などの 危険因子を3つ以上持つ場合は 1.5以下 ほかの病気がない場合は 2.0以下 を目標とするとされています L/H比は それほどポピュラーな指標ではありませんが 先日 当院に相談にこられた患者さんは それほどLDL-C値が高いわけではないのに L/H比を計算されたら高かったので それが心配になって来院されました 最近は 患者さんたちがネットで色々と勉強されてから来院されるので 勉強不足の医者はドキドキです?(笑) さて 注意しないといけないのは こうした診断基準は 薬剤による治療を始める基準ではないという点です 薬を飲む必要性があるかどうかは 脂質の値のほかに 糖尿病などの他の動脈硬化のリスクになる因子があるかどうかを 考え合わせて決められます たとえば 糖尿病や高血圧があると ない場合と比べて より低い値でも薬を飲む必要があります そのあたりが 専門医の腕の見せ所にもなります 心配な方 不安な方は ご相談にいらしてください
高橋医院