欲望との付き合い方
一時代を築いた グローバル自由主義経済が 行き詰っているかに見える現代 そうした現況を どう打破していけばいいのか? グローバリゼーションによって引き起こされた 2008年のリーマン・ショック 金融危機 その対策で脚光を浴びたのが ケインズ理論です 書き手も さすがにケインズは知っています(笑) ケインズは 1929年の世界大恐慌に際し 社会の安定のために最も恐れるべきことは 失業者の増大で これを回避するために 国は借金をしてでも市場に巡らせ 仕事を作るべきである という理論を展開しました このケインズ理論は 2008年のリーマン・ショック後に再び喧伝され 世界各国が行った金融緩和政策の 理論的背景になりました しかしシャルマは ケインズ理論が 誇張されて悪用されている と説きます 危機のときは借金しても良いが 好況になったらそれを返さないといけない 経済が回復してきたのに いつまでもケインズ理論にしがみつくのは おかしい 単に赤字の正当化に ケインズ理論を使っているだけだ と 現在 多くの国で行われている 金融緩和政策を批判し 負債を返し終わらないと 危機は終わらないのに ウオールストリートの発想は あまりにも近視眼的である と揶揄します ケインズもアダム・スミスも 現代の為政者お抱えの経済学者たちに うまく利用されているだけ ということでしょうか? こうした現状に対してシャルマは 世界に あぶく銭・イージーマネーが増えていて このあぶく銭が金融危機後に増大し 資産格差を導きだした と指摘します あぶく銭・イージーマネー あぶく銭ねえ 確かに金融取引で得たお金は 額に汗して働いて得たお金ではないから 人を勘違いさせてしまうリスクが あるような気がします 一方 セドラチエックは 既成の理論や支配層が 崩壊しつつある現在 新たなパラダイムシフトが望まれていて ちょっと驚いたのですが 禅的な精神が 混乱した世界を統合する候補になる可能性がある と述べるのですよ さらに驚いたことに 対談していたシャルマも呼応するように 儚さ 永遠なものなど何もなく全ては過ぎ去っていく そうした禅的な感覚こそが これからの経済活動を導く バックボーンになる と言うのですよ えっ ここで禅が出てくるの? また 勉強しないといけないことが増えました(苦笑) でも 欧米人に禅ファンは多いですね 隣の芝生は青く見えるのかな?(笑) さて 行き詰まりを見せている 欲望おもむくままの自由主義経済 それに代わる新たなシステムは どんなものなのでしょう? 三井物産の社長さんは 欲望の資本主義でなく 持続性があり人に優しい資本主義が必要 と語り 日本のベンチャービジネスの育英者の 原丈人さんは イノベーションの重要性を説かれるとともに 企業が得られた利益を 株主だけに還元せず 社会全体に還元する仕組みの 公益資本主義こそが 21世紀の資本主義であると述べられます こうした文言は 最近あちこちで見聞きすることが多いですが でも 具体的にどうやっていったらよいのか まだファジーな気がします セドラチエックは 最後に再びケインズに言及し 彼は マネー自体が 人の心の底に潜む欲望の対象物であることを 見抜いていて 現在の欲望資本主義を 予見していたのかもしれない と述べます しかし それが行き詰まり 今まで信じていたものが 信じられなくなった現在の世界では 経済における アインシュタイン的な価値観の変革者 新たなケインズが求められているとし 社会システム全体を 従来にない形で変革する経済学の必要性 を強調します また IT時代は経済が抽象化していて それに伴い 欲望も物質世界から抽象世界に移っているので 具体的な変革の道筋を模索するのは 大変かもしれないと危惧します 一方 スティグリッツは最後に 資本主義は 人の金への追求により支えられているのに それだけでは前進しないことが 究極の皮肉である と述べます うーん なんだか それこそまさに 禅問答のようですね(苦笑) そして番組は この一文のテロップが流れて終わります 欲望は無限で 満たされることを望まない ほらね 欲望が問題だって 最初に言ったでしょ?(笑) でも うーん 欲望 どう付き合っていけば いいのでしょう?
高橋医院