中央区・内科・高橋医院の
ダイエットに関する情報


糖質制限ダイエットをしていると

糖質の代わりに 
脂肪酸から変換されたケトン体
エネルギー源として利用されます

ケトン体と表示されたポスター

一方 
糖尿病のコントロールが悪いと
ケトン体が増えて
血液が酸性のアシドーシスになり
命にかかわるので
ケトン体は危険だと見做されていることを
解説しました

前回も言及しましたように

確かに内科医としては
ケトアシドーシスは怖い 危険だ  
というイメージがあります

というか 
そのように教育されています

ですから書き手も
糖質ダイエットでケトン体が
増えてくるという話を
読んだとき

えーっ 大丈夫なの? 

と 素直に思いました(笑)


しかし 色々と勉強してみると

*健康な人の血液中に
 ケトン体が増えてくること と

ケトーシスの状態を表す図

*糖尿病のコントロールが悪い状態で
 ケトン体が増えて
 ケトアシドーシスになること は

糖尿病性ケトアシドーシスの状態を表す図

異なる現象のようです

ケトーシス と ケトアシドーシス は違う!

糖質がない状態では 
ケトン体が増えてきて
エネルギー源として使われる

つまり 

健康な人でも
血中のケトン体が増えることがある

ということを 

少なくとも書き手は 
医学生の頃に勉強しなかったので

ケトンと聞いただけで
ケトアシドーシス 怖い 
という条件反射を
起こしてしまったのです


では 
健康な人の血液中に
ケトン体が増えてくることは 
危険なのでしょうか?


健康な人で 
糖質を制限したときに
ケトン体が増えてくるのは
生理的な反応で 

つまり生理的ケトーシスで
すぐに生体内のホメオスタシスが働くので 
アシドーシスにはならない

一方 

糖尿病の患者さんが
ケトアシドーシスになるのは
ケトン体のせいではなく 
インスリン欠乏による高血糖のせいで

生理的なケトーシス と 
病的なケトアシドーシス 
は違います

お恥ずかしい話で恐縮ですが 
書き手はこのことを知りませんでした
(汗)ですね(苦笑)


害にならないどころか

生体にとって 
ケトン体が増えることによるメリットも
あるようで

ちょっとオタク系の糖尿病専門誌でも 
最近はそんな特集が組まれています

オタク系の糖尿病専門誌のケトン体特集号の表紙

たとえば

血糖値は低下して 
インスリン抵抗性も改善
さらにレプチン抵抗性も改善して 
レプチンの働きで食欲が減るそうです

また 
話題の長寿遺伝子サーチュインの
一部が活性化され
サーチュインが活性化すると
ケトン体が作られる
というサイクルもあるようです
(老化やサーチュインの話は 近々中にする予定です)

さらに 
ケトン体の一種のβヒドロキシ酪酸は
酸化ストレスから体を守る
抗酸化物質を活性化する作用も
あるようです

ですから 
ケトン体=悪者 ではない 
ということのようです

ケトン体が悪者かどうか悩む人の姿


生理的ケトーシスについて勉強していて
興味深かったのが
妊婦さんや新生児のケトン体のことです

妊婦さんは 
糖質制限をしていなくても
ケトン体が高いそうで
但し アシドーシスにはなっていない

また
胎児は絨毛で作られたケトン体を
エネルギー源として用いており
生まれたばかりの新生児は 
成人より血中ケトン体が高い

胎児や新生児 
特に神経細胞の発達期には
糖質よりケトン体がエネルギー源として
利用されるそうです

また ケトン体を含む食事を用いた治療
*小児のてんかん アトピー 食欲不振
*認知症 アルツハイマー
*一部のがん
を対象に行われ 成果が得られているようです

ケトン体を含む食事を用いた治療を説明する図

再度 お恥ずかしい話で恐縮ですが
生理的ケトーシスについては 
ほとんど無知だったので
糖質ダイエットについて調べたおかげで 
とても勉強になりました

ただ 
エネルギー産生の2プラトンシステムについて
疑問に思うところもあります

解糖系経路 ケトン体経路の2プラトンシステムについての説明図

糖質が原料になる糖質系回路に
プライオリテイがあり

脂肪酸がケトン体に変換されるケトン体回路が
糖質系が働かなくなったときにだけ 
スイッチがオンになるのは
どうしてなのでしょう?

ケトン体がエネルギー源として使われる
ケトン体回路は
糖質系回路のバックアップに
過ぎないのでしょうか?

少しでも脂肪を減らしたいと
思っている身としては
普段から脂肪を燃やすケトン体回路も
稼働してくれればいいのに
と思ってしまいます(笑)


高橋医院