ミトコンドリアでの
エネルギー(ATP)産生の解説をしたとき
電子伝達系での電子の流れが滞る

活性酸素が産生されて

それは体にとってリスクになることを
紹介しました

この活性酸素によるリスクは 
酸化ストレス という名前で
世間一般に広く認知されています

確かに酸化ストレスは 
さまざまな病気の病態形成に関わり

最近では 
老化にも関与するとして 
広く注目されている現象です

酸化ストレスで病気が生じる現象を示した図


そこで今回から何回かに分けて 
酸化ストレスの解説をします

そもそも 酸化ストレスとは 
いったいどんなものなのでしょう?

酸化ストレスとは
酸化反応により引き起こされる 
生体にとって有害な作用のことです

えっ? この説明では 
わかったようで わかりませんね(笑)

酸化ストレスを引き起こす
酸化反応とは

ある物質が
酸素と反応することにより生じるもので

酸素との反応で傷害が生じることを示した図


金属が錆びたり 
古い油が茶色になったり

錆びた鉄


皮をむいたリンゴの色が
変わったりするのは

変色したリンゴ


全て酸化反応です

バーベキューで火が燃えるのも 
酸化反応

火が燃える様子


リンゴがしわしわになったり 
バーベキューで火が燃えるのも
全て酸化反応なら

酸化反応 

なんとなく 身近な感じがしませんか?(笑)

食べた食物が
胃腸で分解されて吸収された栄養素が
細胞に運ばれ
ミトコンドリアの電子伝達系で 
エネルギー(ATP)に変換されるのも

栄養素と酸素が反応する
酸化反応です

ミトコンドリアで生じる栄養素と酸素の反応の図


前にも説明しましたが
ヒトはこのミトコンドリアでの
酸化反応を行うために
息を吸って
体内に酸素を取込んでいるのです

ミトコンドリアでのATP産生は 
栄養素が酸素により燃やされて
エネルギーが得られているイメージです

そもそも 
生体内で物質が分解するときには
必ず酸素が必要とされます

さて 
酸化反応を分子レベルで見てみると

その正体は
分子と分子の間で 
電子の受け取りがおこなわれている現象です

*分子が別の分子に向かって
 電子を放出するのが 
 酸化

*分子が別の分子から
 電子を受取るのが 
 還元

この対になった酸化還元反応
体中のいたるところで 
絶え間なく行われています

酸化還元反応における電子の受け取りを解説する図


では 
どうしてそのようなありふれた酸化反応が
生体にとって
有害なストレスになってしまうのでしょう?

それは 酸化反応の過程で

活性酸素 フリーラジカルと呼ばれる

非常に反応性が高い物質
他の物質に反応を仕掛けて
分解したり 変性させてしまう
そんな厄介な物質

が産生されてしまうからです

活性酸素が厄介な物質であることを示した図


体の中で

*遺伝子を形成する核酸

*酵素などの重要な機能分子を作る
 タンパク質

*細胞膜などを形成する脂質

が それぞれ活性酸素 フリーラジカルにより
ダメージを受けてしまう



それが 
有害な酸化ストレスの正体です

では 
酸化ストレスを起こさせる
活性酸素やフリーラジカルとは何か?

次回から 詳しく説明します
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