久々にNHK特集の 欲望の民主主義 の話題に戻りますが

番組も終盤にさしかかり 
まとめに入っていき

民主主義とは何だ? 

という根源的な問いが投げかけられます



民主主義とは何だ? と問うポスター

番組をリードする形で
コメントしてきたマルセル・ゴーシュ
こんなことを語ります

自由の本来の意味は 
自らの運命を決定する力である

そして 社会全体として 
より高度な目的を達成するために
個々人の自由の領域を超えて 
互いの自由を結集することが出来る

民主主義とは 
理想の世界であり
個々人の自由の領域を超えて
同意できないことについて
議論することこそが面白い

議論を楽しむ人たち

さまざまな人たちから
構成される社会で
お互いの違い 対立 矛盾 根本的な多様性から
創造的なものを生み出すことが
民主主義であり
その結果 文明は発展していく

一方 精神分析のシシリア・フルーリー
民主主義の熟成を阻むものについて
言及します

度を超えた個人主義は 
民主主義を危険な状況に陥れるので
個人主義でなく 
個性化を確立することが大事である

個性化を確立するということは
自分は他とは異なるけれど 
公共的なことにも参加する ということで

自分自身の特異性 才能を明確にしつつ
他人とともに集団的物語を築くことである

民主主義が進化するには 
この点が欠かせない


こうしたコメントを受けて 
ナビゲーターの吉田さんがこうまとめます

感情の民主主義を越えるために

*他者の存在を尊重すること

*理不尽さを和らげる社会を作っていくこと

が 大切なのではないか?

民主主義の根幹を成す部分が 
なんとなく 見えてきたような気がします

他者への思いやりと寛容を持てる個の確立

目新しさがない 言い古されたことですが
民主主義には 
それが大切ということでしょうか?

他者への思いやりと寛容を持てる個の確立の大切さを訴えるポスター

ここで 
政治学のヤシャ・モンクが 
とても興味深い意見を語りました

現状の解決策は
民主主義からの撤退でなく 
グローバリゼーションからの撤退でもない

民主主義を再活性化し 
グローバリゼーションによる衝撃を緩和するような
新たな政策を採用すること

グローバリゼーションが
国内にもたらす影響に対応するには
どうしたら良いか考えること

民主主義とグローバリゼーションをうまく調和させることの大切さを訴えるポスター

欲望の資本主義と民主主義の関係について
考えてきた番組をまとめるには
なかなか好ましい(?:笑)意見です

歯触りの良い意見で
なにをどう 
具体的に実現するかは難しそうだけれど(苦笑)

以前 BS朝日で日曜夜に放送している
世界情勢を報道する「いま世界は」という番組で

コメンテーターのエコノミストの伊藤洋一さんが

これからの社会で重要なのは 
いかにしてグローバリズムを修正していくかだ

と述べられていたのが 
印象に残っていますが


民主主義は 
欲望の資本主義を修正できるか?

どうなのでしょう?


番組の中で 
民主主義における欲望についても
度々言及されていたのが面白かったです

前述のヤシャ・モンクは

欲望の資本主義によるグローバリゼーションに
対抗する

そうした役割を求められる国家のなかでも
人々は見えない敵におびえながら 
欲望を渦巻かせている

と語り 
民主主義にも欲望が関わってくることを
示唆しています


また 前回にご紹介したように
18世紀のアイルランドの哲学者・政治家 
エドマンド・パークは
フランス革命後の混乱を揶揄し

我々の本性が抱える大きな過ちは
次から次へと 
飽くことなき欲望の追求の果てに
手に入れた全てのものを 
失うしかないことである

と 民主主義の理念が 
欲望によって変容するリスクを
看破しています

マルセル・ゴーシュは

人は 理性的な理由ではなく 
情動的な理由で思考を維持する 

と語り 

やはり 民主主義と情動 欲望との関連を
指摘しています

これらの意見を受けて 番組では

民主主義は 
人々が生き延びようとする欲望の
集合に過ぎないのか?

という 
ネガティブで刺激的な問題提起もしています

民主主義の要は多様性であることを強調する図

グローバル資本主義にも 
民主主義にも 
大きな影響を及ぼす「欲望」

うーん 厄介ですね、、、





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