脳での食欲の起こり方
中央区・内科・高橋医院の 食事と健康に関する情報 脳で どのように食欲が起こっているか? 食欲の促進 抑制には 脳の複数の部位が関与します その主だったものを紹介します <栄養・エネルギーセンサーとしての 視床下部・弓状核> 前回ご紹介した 食欲の起動源である 体内の栄養・エネルギー状態を感知するセンサーは 視床下部の 弓状核 という部位です 弓状核は 体内におけるグルコースやレプチンの 動態の情報を得ますが その情報に基づき さまざまな種類の物質を放出する ニューロンを駆使して 脳の他の部位に情報を伝えて 食欲 摂食行動を制御します いわば 食欲制御の出発点となる部位です <栄養情報の中継基地としての 視床下部の摂食中枢・満腹中枢> 栄養センサーである弓状核から得た情報を さらに 脳の他の部位に伝達する中継基地のような部位が 視床下部の *外側野 *室傍核 *腹内側核 の3つの部分で 外側野は 摂食中枢として 室傍核は 満腹中枢として それぞれ機能して 他の部位への情報伝達を介して 食欲を実質的に促進または抑制します <胃や腸からの情報センサーとしての 脳幹部の孤束核 脚傍核> 一方 視床下部よりさらに下の方にある脳幹部には 孤束核 脚傍核 という部位があり 胃や腸から 食べ物で胃が膨らんだよ とか 腸で消化を始めたよ といった情報が届き これらの情報は 視床下部や大脳皮質に伝えられ 食欲に影響を及ぼします <快楽としての食欲に関わる 報酬系の側坐核・腹側被蓋野> 脳幹部には もうひとつ食欲制御に関わる重要な部位があります それが 腹側被蓋野 です また 大脳基底核という脳の別のところには 側坐核 という部位があります この側坐核と腹側被蓋野が 快楽としての食欲に関わる報酬系パートです 報酬系には 摂食中枢の視床下部外側野などから さまざまな種類の情報が伝わり エネルギーを得るために食べるという 動物の本能を越えた ヒト特有の 快楽としての食欲が制御されています <食欲に影響を及ぼす 大脳皮質> 食欲は 食物の見た目 匂い 味わいなどにも影響されますが そうした感覚は大脳皮質で得られ その情報が 基底核の扁桃核に送られ評価され その評価が報酬系の側坐核に送られて 食欲に影響を及ぼします 一方 ヒトで特異的に発達している 大脳皮質の前頭前野からは 本能を律して 社会的に正しい形で 摂食行動をとらせる情報が 食欲を制御する部位に伝わっています 脳で食欲がどのように起こっているか イメージすることができましたか? 次回から少しオタクに 上述したそれぞれの部位で 具体的にどのような情報伝達がなされ 食欲が促進・抑制されているかを説明します
高橋医院