中央区・内科・高橋医院の
食事と健康に関する情報


視床下部の弓状核
食欲制御の第一次中枢として
体内の栄養・エネルギー状態を感知して
食欲促進 抑制ニューロンを働かせ

その情報が
第二次中枢である 
摂食中枢 満腹中枢に伝わり

そこからさらに 
脳全体に情報が伝えられて 
食欲が制御される

こうした機序を説明してきました


視床下部での食欲制御の詳細を示す図


全体像がなんとなくつかめてきたところで
レプチンと食欲制御との関わりについて 
まとめておきましょう


<レプチンは食欲を抑制する>

レプチンは 
食欲を抑制する働きを有する物質であることを 
説明しました

レプチンが食欲抑制作用を有することをアピールする図

脂肪細胞から分泌されるレプチン
体内の脂質エネルギー状態を反映して
長い時間スパンでの食欲制御に関わることも 
説明しました

レプチンによる食欲抑制の生体における意義を説明した図


栄養・エネルギーセンサーの弓状核や
摂食中枢 満腹中枢の働きは
レプチンにより制御されます

レプチンという言葉の語源は 
ギリシャ語の痩せる・leptosと言われています

その名のとおりレプチンには

視床下部に作用して食欲を抑制して
エネルギー代謝を促進し 
脂肪細胞を縮小させて体重を減らす作用 
があります

レプチンの機能をまとめた図

ですから 
1994年にレプチンが発見されたとき
夢のやせ薬がついに見つかった!? 
と大騒ぎになりました

しかし残念ながら 
そうは問屋が卸さなかった

そのてん末については 
稿を改めて説明することとします


<レプチンの視床下部への働き方>

レプチンの受容体は 
脳内の様々な部位に発現していますが

特に発現の程度が強いのは

*視床下部の 
 弓状核 満腹中枢 摂食中枢
*室傍核 腹側被蓋野

といった
食欲制御に関わる部位であることがわかりました


では 
具体的にレプチンが
どのように作用しているかというと

弓状核への作用は 
全体の作用の50%ほどと見做されていて

*食欲促進系の
 NPY /AgRP/GABAニューロンのNPY産生を抑制する

*食欲抑制系の
 POMC/CARTニューロンを活性化する

ことにより 食欲を抑制します


また脳の他の部位にも 
残りの50%ほどの力で作用し

*摂食中枢に作用して
 食欲促進系のオレキシンニューロンを抑制して 
 食欲を抑制する

*満腹中枢のTRHニューロンを刺激して
 甲状腺ホルモンの合成を促し 
 代謝を活性化して体重を減らす

*腹側被蓋野・側坐核の報酬系のニューロンを抑制して
 快楽による食欲を抑制する

といった働きにより 
食欲を抑制し 代謝を活発化させます

レプチンの視床下部への作用の詳細を示した図

このように
レプチンは 
さまざまな機序により食欲を抑制していること
が明らかにされました

<ヒトの体にとってのレプチンの存在意義>

では そんな働きを有するレプチンの
ヒトの体にとっての存在意義は 
なんなのでしょう?

その後の研究により

レプチンがあることで
食欲が抑制されることよりも

レプチンがないことで
飢餓感を感じて食欲が増すこと 
の方が 

生物学的には重要ではないか? 
と考えられています


次回に説明する 
肥満のヒトで認められるレプチン抵抗性という現象
そうした考え方が起こるに至った
大きな原因のひとつですが

人類の祖先は 
食糧難の環境に生きていましたから
常にエネルギーを得るために 
お腹が減った飢餓状態だった

当然 肥満のヒトは少なく
体脂肪も少ないので
レプチンも産生されず 
食欲はいつも全開状態だった

だから 体は
レプチンがある状態より 
レプチンがない状態に親しみがある
と解釈するのが妥当と考えられているのです

またしても 
ご先祖様が作られた体質には逆らえません 
ということ?(笑)

ちなみに
痩せてレプチンが低下すると 
食欲は増しますが 
性腺機能は低下するそうで

これは
低栄養状態で生殖行動を起こすと 
妊娠維持に支障がきたす恐れがあるので
そうしたことが起きないようにするための 
合目的的現象とされています

うーん 人の体の仕組み・反応は 深いですね!

次回は

レプチンが多く存在して食欲を抑制することに
なぜ意義が見出せていないのか?

について説明します


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