自律神経失調症の治療
自律神経失調症には さまざまな治療法がありますが *薬によって 症状を和らげる *心理療法などで 身体と心の両方への働きかけ 根本的な治療を試みる *食生活 生活習慣の改善を図り 原因を取り除く といったことが中心になります 以前説明した 自律神経失調症のタイプにより 主たる治療法が異なり @本態性型は 自律神経調整薬 @神経症型は 抗不安薬 心理療法 @心身症型は ストレスコントロール 生活習慣 生活環境の改善 自律神経調整薬 抗不安薬 漢方薬 @抑うつ型は 抗うつ薬 心理療法 などが行われます 治療は長期戦となり 治療開始1か月後には 症状は改善することもありますが 治療をやめると 症状がぶり返し再燃を繰返すことが多いので 根気よく治療を継続することが大切です 治療終了までには 3~4年はかかると思っていた方が良いでしょう <薬物治療> つらい症状を和らげるために 以下に示す薬物を用いた治療が行われます @抗不安薬 大脳辺縁系に作用して不安をやわらげる 最もよく使われる薬物で ストレスが原因のタイプに有効です 作用が弱いタイプの薬物が 主に使われますが 眠気 ふらつき だるさなどの 副作用がでることがあり また 長期服用で依存性を起こす恐れもあります *作用が弱い薬としては リーゼ セレナール ハイロング *中程度の薬としては ソラナックス セルシン *強い薬としては ワイパックス デパス などが 主に使われます @自律神経調節薬 視床下部に作用して 交感神経・副交感神経のバランスを整えます 抗不安薬に比べ 作用も効き目も穏やかで 精神症状が少なく 軽度の身体症状がある場合に 適応となります *ジヒデルゴット 頭痛 低血圧 立ちくらみに *ハイゼット 肩こり 頭痛 腸管運動低下に *グランダキシン 頭痛 頭重 倦怠感 発汗に といった薬が主に使用されます @自律神経末梢作用薬 亢進している交感神経 副交感神経の働きを遮断して 症状を和らげます 動悸 不整脈 血圧上昇などの 交感神経亢進による症状の抑制には βブロッカー(インデラルなど)が用いられます 腹痛 下痢 吐き気などの 副交感神経亢進による症状の抑制には 胃腸の緊張を和らげるブスコパンが用いられます 一方 立ちくらみ 低血圧 起立性調節障害など 交感神経の活動低下が原因で起こってくる症状に対しては 血圧を上げる作用があるリズミックが投与されます @睡眠薬 睡眠薬については 既に不眠の解説で詳しく紹介しましたが ベンゾジアゼピン系と 非ベンゾジアゼピン系薬物を中心に 患者さんの不眠症状に適した薬物を選択します @抗うつ薬 抗不安薬の効果が弱い場合に 使用されます 心療内科や精神科の先生方に相談して 処方していただくことが多いです <心理療法> 心理療法は 薬物治療と並ぶ重要な治療法で 医師との充分な会話により 患者さんの問題を探り出し 不安 緊張を改善することを目的とします 患者さんは 悩みを話すことで心が軽くなり 原因にも気づけるます もともと 自分の症状のことを理解してもらえなくて 不満や不安が強くなっておられるので 医師は患者さんの話をしっかりと聞いて それはつらいですねと受けとめ 患者さんが 悩みながら生きてきたことを理解 支持し 前向きに病気に立ち向かってもらうようにし なぜ症状が起きているかを説明し 必ず治ると約束し 不安を拭い去る これが 心理療法の基本となります さらに 一歩進んだ行動療法などもありますが それらは心療内科などの専門家と 協力して行われます
高橋医院