逆流性食道炎の解説をしていますが

先週あたりから 
花粉症の患者さんが急増していますので
今週は 急遽 花粉症  のお話をします

先週木曜日あたりから 
急に暖かくなったので
きっと花粉がたくさん飛び始めたのでしょう

東京では 
2/14のバレンタインデーに
花粉の飛散が始まったと報告されています

花粉が飛び散る写真

しかし 
当院にはその前の2月初旬頃から
花粉症の薬の処方を希望して
来院される方がおられました

プロ ですね!(笑)

というのも 前にも解説しましたが

花粉症のお薬は
花粉が飛び始める前 自覚症状が出る前から
前もって飲み始めた方が 
コントロールが良好なのです

早期治療の効果を示す図

そのことをご存知ない方も多いので 
改めてお知らせする次第です


どうして 
そんなに前から薬を飲んだ方が良いのか?

それは 
代表的な花粉症のお薬の抗ヒスタミン薬
インバース・アゴニスト作用 
という働きがあるからです

鼻水などの花粉症のつらい症状は
マスト細胞 好塩基球などの血液細胞に
IgE抗体が結合して
ヒスタミンやロイコトリエンなどの
化学物質が放出され

それらの化学物質が 
鼻粘膜などを刺激するために 
起こってきます

症状が起こる機序の説明図

ヒスタミンは 
鼻粘膜などに存在するヒスタミン受容体に結合して
それにより症状を起こさせます

抗ヒスタミン薬は 
このヒスタミンと受容体の結合を抑制するので
作用を発揮します

抗ヒスタミン薬の作用機序を説明した図

しかし 
ヒスタミン受容体がたくさん存在すると
受容体が構造変化を起こして
ヒスタミンがなくても 勝手に活性化して 
症状を起こしてしまいます

受容体のひとり芝居のようなものです

抗ヒスタミン薬は
この 
ヒスタミン受容体のひとり芝居も抑えてくれるので 

花粉が飛散する前 
ヒスタミンが放出されるから投与しておくと
シーズン中の症状を 
ばっちり抑えることができるのです

この効果を インバース・アゴニスト作用 と呼びます

インバース・アゴニスト作用を説明した図

ヒスタミン受容体を安定化して
その状態を維持して 
むやみに活性化させないので

症状改善の維持や 
再発の抑制が 
期待できるわけです


また ヒスタミンは 
ヒスタミン受容体の遺伝子の発現を亢進しますが
抗ヒスタミン薬は この現象も抑制します

実際に 
抗ヒスタミン薬を事前投与しておくと
鼻粘膜でのヒスタミン受容体の発現量が
有意に低くなり
上述した 
受容体が勝手にひとりで活性化する現象も
抑制できます


こうした理由により

*花粉が飛び始める前から

*自覚症状が出る前から

前もって 抗ヒスタミン薬を服用することが
推奨されるわけです

早目からの対策を勧めるポスター

今年は既に花粉が飛び始めてしまいましたから
残念ながら 時すでに遅し ですが

花粉症で悩まれている患者さんは
来年からは 2月中旬くらいから
薬の服用を開始されることを
お勧めします





高橋医院