日常生活での花粉症対策
今日は *どうして花粉症の症状が生ずるのか? *どうして花粉症の患者さんは増えているのか? *花粉症の症状を和らげるための日々の生活の注意 について解説します <なぜ花粉症の症状は生ずるのか?> 花粉症は スギやヒノキなどの花粉に対する アレルギー反応により起こります スギやヒノキの花粉が体内に入ってくると それに特異的に反応する IgE抗体という物質が作られます IgE抗体は 眼や鼻の粘膜に存在している 肥満細胞の表面に結合していて 再び花粉が入ってくると 花粉は肥満細胞表面のIgE抗体に結合し その刺激で 肥満細胞から ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出されます これらの化学物質は 粘膜の神経や血管を刺激して くしゃみ 鼻水 鼻づまり 涙 などを起こさせます 肥満細胞から放出される化学物質のうち *ヒスタミンは 知覚神経を刺激して くしゃみ・鼻水・眼のかゆみを起こし *ロイコトリエンは 末梢血管を拡張させるので 鼻づまりを起こします このヒスタミンとロイコトリエンの差異が 治療薬の選択に関与しますが 治療のところで詳しく解説します さて こうした症状は 体内から花粉を排出させるために起きるもの いわば生体の防御反応のひとつですが アレルギー体質が強い方は この反応が過剰に起こるため これらの症状に悩まされることになります また花粉が繰り返し入ってくると 粘膜での反応が増幅して慢性化し 症状が強くなり 持続するようになります <なぜ 花粉症の患者さんは増えているのか?> 特に スギ花粉症の患者さんの増加は著明で 1998年と2008年を比較すると 16.2%から26.5%に増加しており 今や 3人に1人が花粉症で悩まれる時代 になりつつあります 戦後に国策で植えられた スギの木が伐採されないので 病気の原因になる大量のスギ花粉が 飛散するためと考えられています 特に 関東・東海では植林されたスギの木が多いので 花粉症の患者さんも多い傾向がみられます 花粉症が発症する確率は 体内に入った花粉量(抗原量)と 相関すると言われています ですから 飛散している花粉の量が多いと 去年までは大丈夫だった方でも 今年から急に発症してしまう といったこともありますから 注意が必要です また *高タンパク・高脂肪な食事内容 *不規則な生活リズム *ストレスの多い生活 などは アレルギー反応を起こしやすくするので そうした日常生活の変化も 花粉症患者さんが増加している原因かも知れません さらに *大気汚染 *母乳からの栄養摂取の減少 *腸内細菌叢の変化 *子供の頃の結核や寄生虫の感染機会の減少 といったことも 花粉症の増加に寄与していると考えられています <日々の生活における花粉症対策> 日常生活でいちばん注意すべき点は ズバリ 花粉が目や鼻に入ってこないようにすること です! @花粉が飛びやすい日は なるべく外出を控える *天気が良くて 気温が高く 乾燥している日 *風が強い日 *前日が雨だった日 などの日は 要注意です 特に花粉が飛びやすい 午後1時~3時の外出は控えましょう @外出するときは 完全防備で *帽子 メガネ(目に入る花粉量を1/2-1/3に減らす) マスク(吸い込む花粉量を1/3-1/6に減らす) を身に着ける *コートはツルツルした素材のものを (ウールは花粉が付着しやすいので危険です) @帰宅したときは 玄関に入る前に 衣服に付いた花粉を振り払う *衣類や髪に付着した花粉をしっかりと振り払い 家の中に花粉を入れないようにすることが大切です @家に帰ったら 洗顔やうがいをして 花粉を落とす @花粉の飛散の多い日は 窓や戸を閉め 布団や洗濯物の外干しを避ける @こまめに室内を掃除する こうした注意をされて 可能な限り 花粉との接触を防いでください 次回は 花粉症の治療についてご紹介します
高橋医院