今週は夏休みなので いつものお勉強ブログなどはお休みして

欲望と不条理 な話題を提供します

去年 NHKの特番で放送され
とても面白くて印象に残り ブログでもご紹介した

欲望の資本主義

その2018年版が放送されました(もう 少し前のことになりますが)

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やめられない 止まらない

欲望が欲望を生む 欲望の資本主義

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人は 何のために働くのか?

金と欲望をめぐる物語

そんなキャッチコピーで宣伝された番組ですが サブタイトルは

「闇の力」が目覚める時

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うーん 興味をそそられる 意味深なタイトルです(笑)

またしても面白かったので 番組内容を紹介します

<第1章 分断する世界>

番組ではまず
NYで行われた 起業家と投資家のイベントの模様が紹介されます

資本とアイデアが出会う場所

起業家は
自分が開発した新たでユニークなアイデアを 実現させるために
投資家に売り込みます

こうした場が 新たな富が生み出される土壌となります

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ベンチャー投資家たちは 語ります

投資家の役割は 金と起業家・アイデアをつなぐことで
見込みのある起業家に投資し 彼等彼女等を育て
新たに作った会社を 大企業に売って稼ぐ

これは 資本の増殖を巡るリアルゲームだ と

彼等の目的は 新たなシステムを作る こと

「デジタル技術による効率化」が彼等の投資哲学で

時間とコストの削減をいかに効率的に行うかを
起業家のアイデアをハンティングして 追い求めます

効率化こそが 至上命題で
テクノロジーにより 世界を変えることを目指す

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インターネットを使い 低コストで拡張性を高くして
99%の人が恩恵を被れるようにして
世界の富のバランスをよくするのが投資家の役目

と主張します

うーん 富のバランスを良くしようという目標は立派ですが
効率性をそんなに過度に追い求めるのは どうなのかな?
と 怠け者の書き手は思ってしまいます(苦笑)

そしていよいよ「欲望の資本主義」について語られ始めます


資本主義は 創造と破壊の連続である

日々 新しい技術で 新しいモノを作る

そうした競争の繰り返しこそが資本主義で
その原動力は 起業家によるイノベーション

資本主義の本質を こう著したのは
ケインズと並ぶ巨人経済学者の ヨーゼフ・シュンペーター

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彼は 資本主義のダイナミズムの本質を追い続け

呈したキーワードのひとつが 創造的破壊

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創造のためには 破壊し続けなければならない

これが 資本主義の掟

シュンペンターは
この後も重要な場面で繰り返し登場し
「創造的破壊」は この番組のキーワードになります

いやー 不勉強な書き手は ケインズは知っていましたが
シュンペンターさんとは ”はじめまして!” でした(苦笑)

ここで フランスの経済学者 ダニエル・コーエンが登場し
現代の世界経済が抱えるパラドクスを指摘します

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ここ10年あまり
新しいテクノロジーの広がり・発展が 経済を活気づけているが
先進国の経済成長は ずっと停滞している

テクノロジーの発展は 世界の人々を富ませていない
富んでいるのは トップの一部の人々だけ

テクノロジーは
トップの人の世界を広げることで 強者をさらに強者にしただけで
経済格差を広げるのに貢献したにすぎない

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その結果 人口の中核をなす中間層の人々が つらい思いをしている

サービス業 銀行 保険会社 役所などに勤める人は
新しいテクノロジーの恩恵を受けていない

そればかりか テクノロジーは
中間層の人々の仕事を時代遅れにして 職を奪っている

生き残れるのは
ロボットやテクノロジーで置き換えられない低賃金の飲食業などだけ

このように

テクノロジーの進歩は 経済発展に結びついておらず
むしろ多くの中間層の人々の職を奪い 生産性を失わせていく

そして 世界の富豪8人の総資産が
底辺の36億人の総資産と同じ額になるという
圧倒的な経済的格差社会を生み出している

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こうしたことは 以前にもあった

産業革命のとき
テクノロジーによる生産性向上により
農業などに従事する労働力が不要になった

しかし そのときは
農業に従事していた人々が 地方から都市に出てきて
工場などで職を得られた

そして 幸いなことに これが経済成長につながった

しかし 失業は 常に社会に緊張をもたらす

AIやロボットに職を奪われようとしている現代の中間層は
経済的格差で分断された社会のなかで
この先 どうなっていくのだろう?

コーエンは
イノベーションが進み AIやロボットが跋扈する現代社会の現状に
こうした疑問を投げかけます

よく指摘される中間層の没落」ですね

グローバリゼーションが
中間層の没落の原因になったという説は
これまでも何度か見聞きしましたが

イノベーションやテクノロジーの進歩が 中間層の没落を招く

というアイデアは 書き手にとって新鮮でした

<第2章 革命の夢のあとさき>

この章では 反資本主義の流れ が紹介されます

アメリカでは 自由だけでなく平等を という流れが
若い人々に広がっているそうです

大統領選挙でサンダースさんが 若い世代に好評だった流れで
社会主義が再評価されているとのこと

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そんな状況の中で
ドイツの女性経済ジャーナリスト ウルリケ・ヘルマンは
マルクスについて語ります

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マルクスが分析した資本主義とは

人が金を商品に投資して より多くの金を獲得すること 

を目的とした「狡猾な」システム
貨幣はモノに支払われたのでなく 前貸しされたに過ぎない

増やすことを目的とした貨幣の利用が 資本である と

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資本主義の一側面である 拝金主義的なところが
少しずつ見えてきましたね?(笑)

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ヘルマンは

産業革命により資本主義が始まった と解説します

産業革命が なぜ イギリスで1790年に起こったか?

それは 当時のイギリスが 最も賃金が高い国だったから
なんと他のヨーロッパの国の2倍だったそうです

資本主義は 人件費が高くないと活性化されない

労働者が低賃金で購買力がないと
技術革新で作られたものが売れない

大量消費 大きな需要がないと 技術革新は機能しない

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なるほどです! そんなこと 考えたことがりませんでした、、

しかし

アメリカでは1975年頃から ドイツでは2000年頃から
実質賃金が増えていません

日本も同じ

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賃金が増えないから 消費も沈滞してしまう
過剰産生と売り上げの落ち込みが 世界の至る所で起きているのです

そこで企業は
利益を出せない「生産性向上」に見切りをつけ 投資をしなくなり
代わりに 金融市場での投機が行われるようになっている

賃金が上がらないのは
労働者が失業を恐れるあまり 賃金の値上げより職の確保を優先した
という理由もあるが

いずれにせよ 世界中で賃金が頭打ちになっている現状は
資本主義にとって危険な状態で

労働者の賃金を上げないと 一握りの経営者ばかりが富んで
ますます格差が広がってしまう

と懸念します

ここで再び マルクスの予言が紹介されます

資本主義は その矛盾ゆえに 滅びる

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なるほどです

書き手にとっては

賃金が上がらないので消費が冷え
利潤が得られなくなった企業は 投資でなく投機をするようになる 

という解説が とてもびっくりでしたし ショッキングでした

企業経営の厳しさを 思い知らされたような感じがしました

さて この番組の常連の チェコのセドラチェクが登場します

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マルクスは

企業が得た利益は 労働者に還元されるべきだが
労働者の賃金を上げると 経営者の利益は減るので
自主的に賃金は上がらない

だから 賃金を上げるには革命しかない

と説いたと解説します

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実際に ロシアで革命による社会主義は起きたけれど

最終的には上手くいかず
平等な社会が築かれることがなかった

そして 資本主義のカウンターパートである社会主義が消え去り

ひとり勝ち状態となった資本主義は
いったいどこに向ったのか?

続く
高橋医院