欲望の資本主義 2018

番組は 資本主義が暴れまわり始める様子を 分析していきます

<第3章 ショウの幕が上がるとき>

ここで セドラチェクと
やはりこのシリーズの常連さんのマルクス・ガブリエルの対話が展開されます

ガブリエルは 語ります

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資本主義とは
商品生産にともなう組織的な活動全体のことで
現代の資本主義社会は 商品の生産活動そのものである

そして 商品の生産とは 見せるためのショウに他ならない

生産とは 新たに「見せる」ことで
今の資本主義は 全てがショウ化している経済システムである

そういう意味では トランプはまさに資本主義そのものの顔で
ショウこそがいちばんの商品になっている

そんな状況下でのベストな商品は フェイクで

フェイクは 大量生産の差異化が行き着く果てであり
それが理想の商品となっている

でもそれは しょせん 安く作れて浮ついたモノにすぎない

いかにも彼らしい ちょっとシニカルな 現代の資本主義のとらえ方です(笑)

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そう語るガブリエルに対し セドラチェクはこんな風に答えます

市場でなく 社会の見えざる手 の存在を信じている

歴史を振り返っても 社会の自動調節機能が繰り返し働いている

例えば チェコで共産主義が行き詰ったとき
方向性を示したのはアーティストだった

それは 経済の外側からやってくる見えざる手で
アートや哲学などの 人文系学問に期待されるものである

「資本主義は 無秩序に暴れはじめた」と分析するガブリエル

「人文系の知恵により それは制御できる」
と希望を語るセドラチェック

片や 冷静に深く思考し
片や 情熱的に物事を分析する

ふたりの特徴が良く現れたディスカッションは 面白いです!

そして書き手は
人文系の知恵が経済の混乱を救うという セドラチェックの意見を
もろ手を上げて支持したいです!

さて ふたりの会話は 意外な方向に展開していきます

<第4章 フォースの覚醒>

話題は グローバル化 貿易 投資 にひろがります

資本をさらに増やそうと試みる人 そこから取り残される人
引き裂かれる欲望の世界

資本主義は どこに向うのでしょう?

セドラチェクは

ヨーロッパは
もともと 経済移民は受け入れないが 政治移民は受け入れる
というスタンスだったが

現実は逆で

経済移民は仕事をしてくれるし 消費もしてくれるので
良いと評価して どんどん受け入れるようになり

逆に 仕事でなく自由を求める政治移民は 受入れなくなった

これは 理屈でなく本能に基づいた行動とも言えるが
移民政策の決定の裏側に ”経済のホンネ” の存在が透けて見える

いつから政治の裏側に 経済という本音が張り付いたのか?
経済と政治の錯綜は なぜ生まれたのか?

と問います

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それに対して ガブリエルは論を転がして
移民政策を語るときに必ず出てくるポピュリズムについて こう答えます

昨今の政治的風潮を ポピュリズムで片づけようとするのは
無意味で的外れな診断で

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今起きていることは グローバル化への抵抗の一種である

人々が 突然 政治的に国粋主義に目覚めるようになったわけではなく

世界中で人々が
グローバル化による経済的な不公平を目にするようになったので
ポピュリズムのような現象が起こり始めたのだ

政治でなく経済が原因なのだ と

はい グローバリズムの社会や経済への悪影響

これまでも度々指摘された 現代社会を読むキーコンセプトのひとつですね

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ここでセドラチェクは 新しい 興味深いコンセプトを披露します

邪悪な力 フォースが目覚めたのだ と

ポーランドでは
たった2週間の短期間で 突如 邪悪な力 フォースが目覚めた

それは ポピュリズムではなく 暗い悪のようなもの

悪のフォース

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2015年頃に なにか構造的な変化が起きたのかもしれない

その頃から 人々が良い人ではいられなくなってきた

誰も自分を助けてくれないのに
どうして人のことを助けなければならないのだ?

特にキリスト教文化では イスラム教文化より経済的反応が強く出て
“良い人疲れ” が起こり始めた

良い人疲れ 面白いコンセプトですね!(笑)

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ガブリエルは セドラチェックが指摘した悪のフォースに 敏感に反応します!

悪について 考え直す必要がある

そして 彼が研究した
ドイツの哲学者 フリードリヒ・シェリング を登場させます

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シェリングは 悪の研究の第1人者で

悪は人の心の中にあるだけでなく
実在するポジティブなフォースである

と主張しました

どんなシステムでも
継続的に維持させるためには 他のシステムを排除しなければならない

外部がないシステムは
内部に「異質なもの」を作りださなければならない

これが シェリングのいう 悪のダイナミクスだ と指摘します

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そして このシェリングの理論を
グローバリズム全盛の現代社会に当てはめてみます

「外部がある」という感覚を失うと 帝国は崩壊を始める
そうした崩壊を防ぐには 内部に悪を作らなければならない

だから”外部”を消失させたグローバリゼーションは
社会や政治に 新しい悪を生み出させたのかもしれない

資本主義は 経済的な帝国を作り出したけれど
帝国というものは 困ったときは 内部から悪を作り出す

これが ナショナリズムなどが復活している背景なのだろう

確かに 悪に似ている

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いつもながらガブリエルは 面白いことを言いますね!

この「内部に敵を作る」というアイデアは
フランスにおける民主主義の変貌について語られたときも
大きな要因として語られていましたが

いずれのコンテクストでも
ナショナリズム的なものに結びつくのが興味深いです

ナショナリズムの本質なのかな?

では その悪は 個人に生まれるのか? 社会に生まれるのか?

<第5章 イノベーションの呪縛>

セドラチェクは

資本主義は 過度に効率的になり 道徳的規範を失った

と指摘します

資本主義の支配的な観念 強迫観念は

*役に立つことだけをすべし
*自分を愛するものを愛し 嫌うものを嫌え
*よくしてくれる者によくして 意地悪するものにはやり返せ

というもので

人々は こうした観念に生まれたときから親しんでいるので
あらゆるところに その価値観が根付いていて

それが 道徳的規範の喪失に繋がる

そして そのことに気がついていないのだ と

うーん セドラチェクの論理展開は
わかりやすいし シンパシーが持てて(?:笑)いいですね!

で それを受けて ガブリエルは 次のように論を展開させます

資本主義は どこまでも拡大しつ続ける性質を有する

成功の概念の上に成り立っていて
ひとたび成功すると 次の何かを求めようとする

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成功者であり続けるには 同じことをしていてはダメで
絶えず新たなことを考えて 成功し続けて
それにより 自らを維持する必要がある

だから これまで目をつけてこなかった新たな存在を見つけて
値段をつける作業を続けていく

このように 全てを商品化することが 資本主義の根本的な性質である

新しさを追いかけ あくなき創造と破壊を継続することこそが
資本主義のエネルギーとなるのだ と

ここで ダニエル・コーエンが再び登場し
シュンペーターについて言及します

彼は 資本主義の歴史を 創造的破壊の連続だとした

この番組のキーワード「創造的破壊」の登場です!

人々は 創るための破壊を繰り返してきたが
それは強迫観念のように人々を駆り立て
資本主義社会では ずっと継続して行われてきた

しかし シュンペーターは こうも予言します

資本主義は その成功ゆえに 自壊する

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またシュンペーターは マルクスを次のように評価しました

マルクスの体系には 構造の力が際立つ

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そして 偉大なものには 闇の力 がある

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うーん ”構造” には ”闇の力” が内包されているのでしょうか?

社会の構造は
その中で生活していると無頓着になってしまいますが

それが大きな力 しかも闇の力を持つという概念は
なかなか面白いと思います!

社会の構造に 闇の力が内包されている?

うーん 興味がそそられます!(笑)

 

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