硬水と軟水
昨年末に
ヨーロッパでは硬水が多く 日本では軟水が多いことを
紹介しましたが
その話題を続けます
水の硬さは 料理に大きな影響を及ぼします
軟水は
爽やかにすっきり飲めて
だしの香りや旨さを引き出せるので
日本料理全般に好適
コーヒー お茶 お酒など
香りを大切にする飲み物には軟水がよく
色や風味が出やすいとされています
中硬水は
お肉を煮込んだりするときに使うと
余分なタンパク質を
アクとして抽出してくれるので
鍋物 煮物 しゃぶしゃぶ
洋風だしをとるときなどに
適しています
硬水は
のどごしが硬いけれど
しっかりした飲み応えがあります
ただし独特の苦みやえぐみもある
お肉を煮るとき
軟水では肉の臭みが強くなりますが
硬水だと肉のタンパク質とカルシウムが結合し
アクとなって除いてくれます
ということで
硬水が多いヨーロッパでは
オーブンで焼く 煮込むといった
水をそのまま利用しないで料理する工夫が
生まれました
野菜の加熱は
野菜自体に含まれる水分を利用して蒸したり
米は 炒めたり蒸したり
水を使わずスープストックや牛乳で煮たりします
肉も 油で炒めたりローストしたりすることが多い
煮物は シチューのような煮込み料理が多く
水で直接煮込まず スープストックを使い
ワインや生クリームを加えて調理します
いかにもヨーロッパの料理 という感じですね!
軟水の日本では
上手にだしをとれますし
ご飯も軟らかく香りよく炊けます
ちなみに同じ日本でも
地域の水の硬度の差異により
だしの出具合が異なるそうで
硬度50の京都では
昆布だしのうま味の強さは最も鮮明で
合わせだしもまろやか
硬度80の沖縄や関東では
うま味は弱いけれど
シャープで 昆布より鰹の風味が際立つ
そうです
面白いですね!
先日
どん兵衛の関東バージョン 関西バージョン
を紹介しましたが
関東は鰹だし 関西は昆布だし という好みには
水の硬度の影響もあるかもしれませんね
水の硬度は
緑茶や紅茶を入れるときにも
大きな影響を及ぼします
硬水で淹れると
味がまろやかで苦みや雑味は出ませんが
色や風味が出にくい
緑茶のテアニンや紅茶のタンニンが持つ
味や香りがなくなるので良くない
と評される方もおられるようです
軟水で淹れると
苦味 風味が強くなりますが
色や風味は出やすい
紅茶にこだわりがある方は
ダージリンは 100以下
セイロンは 50以下
アッサムは 200程度
の硬度のミネラルウォーターで
楽しまれるそうです
香りや風味を楽しみたい
ダージリンやセイロンは
軟水で
アッサムはミルクテイーが美味しいですから
味がまろやかになる硬度が高い水が良い
そう言われてみると
イギリスで飲んだミルクティーは
美味しかった!
ちなみにロンドンのお水の硬度は
200だそうです
コーヒーにも影響があって
硬水だと
酸味より苦味が強く出るので
深く煎った豆が良い
軟水だと
酸味 香りが強く出るので
浅く煎った豆が良い
水の硬度が高いヨーロッパでは
深煎り豆のエスプレッソが
硬度が低いアメリカでは
浅煎りで酸味の強い豆を使う
アメリカンコーヒーが
それぞれ好まれるのが納得できますね!
こんなふうに 料理やお茶を楽しむ時に
硬度も考えて最適のお水を使うのは
とても優雅な感じがしますが
うーん 非日常的かな?(笑)
高橋医院