新型コロナ・免疫の謎に迫る・抗体について
NHKで放送された 新型コロナウイルス・免疫の謎に迫る ついで このブログでも何回か紹介した 新型コロナウイルス感染における抗体の不思議について 議論されます <抗体保有率> 新型コロナウイルスに対する抗体の保有率は 日本では0.1%程度と低いです ヨーロッパで感染が多いスペインでは 5.2%で その数は PCRで感染が確認されている感染者の なんと10倍にあたり それだけ無症候性患者が多いことを示唆します 一方 社会的な感染防御策を敢えてとらず 集団免疫の成立を目指したスウエーデンでは 6.3%しかなく 集団免疫に必要とされる60%には はるかに及んでいません 爆発的な感染があった都市での抗体保有率は高く ロンドンは17% モスクワは19.9% 悲惨な医療崩壊が起き多数の死者がでた 北イタリアのベルガモでは57% ニューヨークでは12.3%ですが 黒人が多いブロンクス地区では32.6%と高い値でした アメリカの疾病管理局のCDCでは 全米25都市の32万5千人を対象に 18ヶ月間 毎月継続して行う抗体検査を開始したそうで 抗体保有への 年齢 性別 居住地 持病の有無 都市による対策の違い などによる影響がわかり 抗体の持続期間も判明すると期待されています <抗体が長続きしない? どうなる集団免疫 どうなるワクチン> 既に紹介しましたが 中国では 退院2カ月後に抗体が大幅に減少し 中和抗体も減少することが報告されました 同様の現象は ロンドンを始め世界各地から報告されていて 今やコンセンサスになりつつあります こうした事実は 集団免疫の成立や免疫パスポート構想への 警鐘を鳴らしますが ワクチンへの期待感にも 水を差してしまいます 多くの人が 毎年インフルエンザワクチンを接種するのは ワクチンで誘導される抗体が 数ヵ月しか維持されないからですが 新型コロナウイルスに対するワクチンができても 同じようなことが起こる可能性があります たとえ新型コロナウイルスのワクチンが 上手くできても 毎年接種しないといけないかもしれません <悪玉抗体> 宮坂先生が提唱されている 悪玉抗体についても議論されました 重症化する人ほど 早く抗体価が上がっていくという現象が 世界各地から報告されていて 抗体が病態を悪化させている可能性があります 岩崎先生は どういう性質を有する抗体ができてくるかを 充分に吟味しないといけないと言われます 新型コロナウイルスでは ウイルスを排除する中和抗体も ADEを起こさせ病態を悪化させる悪玉抗体も 両方ともできるので 抗体量だけ見ていてもダメで 中和抗体がどれだけできているかを チェックしなければならない 一方 ワクチンによる悪玉抗体誘導の危険性も指摘されます 実際にMARSやSARSでは ワクチンの開発中の動物実験で 悪玉抗体によるADEが生じて肺病変が悪化しましたから 新型コロナウイルスに対するワクチンでも 同様のことが起こらないか 十分に注意する必要があります
高橋医院