NAFLDの患者さんは
糖尿病の患者に匹敵するくらい 
たくさんおられることを説明しましたが

では どんな方が 
NAFLDになりやすいのでしょう?

あとで詳しく説明しますが

NAFLDは生活習慣病です!

ということは 
NAFLDになる原因のいちばん大きなものは
肥満 特に内臓脂肪の増加です

前回ご説明したように
BMIが25以上の肥満の方は 
そうでない方に比べて
NAFLDの有病率が有意に高くなる

BMI別のNAFLD有病率を示すグラフ

なぜ 肥満の人は 
NAFLDになりやすいのか?

以前ご説明しましたが 
内臓脂肪が増えると
脂肪細胞からのアディポカイン産生パターンが変化して
善玉アディポカインが減り 
悪玉アディポカインが増えてくる

そうなると
インスリンが分泌されているのに効きが悪くなる
インスリン抵抗性になってしまいます

インスリン抵抗性
糖尿病の大きな原因のひとつですが

NAFLDの原因でもあります

NAFLD NASHの病態については 
稿を改めて説明しますが
インスリン抵抗性の存在が 
大きなバックグラウンドになっています

肝臓でのインスリン抵抗性を解説した図

これも 稿を改めて詳しく説明しますが
だからこそ 
病態形成にインスリン抵抗性が関わっている
糖尿病とNAFLD・NASHは 
とても密接に関連しているのです

そんなわけで 
肥満の人はNAFLD NASHになりやすい

肥満でなくても 
体重増加傾向にある方も要注意なのは
前回お話しした通りです

「NAFLDになりやすいヒト・チェックリスト」
というのがあります

*毎日 お酒を飲む
*太っている または 最近太ってきた
*夜食を食べる
*早食い ストレス食い まとめ食い が多い
*偏食傾向がある 野菜や魚は食べない
*甘いもの 脂っこいものが好き
*カロリーを摂りすぎ
*塩分を摂りすぎ
*運動不足
*不規則な生活をしている

読み手の皆さん 特に お父さん 大丈夫ですか?

NAFLDで受診された患者さんに 
このリストをお見せすると

「全部 当てはまります!」
と 元気よく答えてくださる方が
少なくありません(苦笑)

そんなNAFLDになりやすい方の
食事内容を分析すると

とにかく食べる量が多いので 
摂取総カロリーが高く

肉類 
甘いもの 
糖分の入ったソフトドリンク
が大好き

脂肪の内容を見てみると
肉 バター クリーム チーズに多く含まれる
飽和脂肪酸量が多い

いずれ詳しく説明しますが 
飽和脂肪酸は悪玉脂肪酸と呼ばれ
動脈硬化を進展させます

一方 魚や食物繊維はあまり食べず
魚油やエゴマ油などの植物油に多く含まれ
動脈硬化を改善するω3不飽和脂肪酸が少ない

このような食事をされていると
体内で飽和脂肪酸が増えて
さらにインスリン抵抗性が増悪します

ですから 既にNAFLDの方や NAFLDが心配な方は

脂身がたっぷりのお肉や甘いものを控えられ
魚や食物繊維をたくさん食べるように 
心掛けてください

なお 果物に含まれる果糖
他の糖質に比べて 
肝臓に中性脂肪を貯めやすいので
果物の食べ過ぎは要注意です

果糖が脂肪肝を誘導しやすいことを注意喚起する図

今日のブログを読まれて

我が身の生活習慣や食事内容を思い起こされて
急にNAFLDを身近に感じるようになった方!

本当に身近になってしまわないように 
充分にお気をつけください!
高橋医院